ともに中国・四国を地盤とするマックスバリュ西日本(MV西日本)とフジは2022年3月に経営統合することで合意した。MV西日本はイオンの子会社。イオンとフジは2018年に資本業務提携し、イオンがフジに15%、フジはMV西日本に約7.6%出資した。
リテールパートナーズはドミナント(地域集中出店)戦略の一環として、戸村精肉本店(宮崎県日南市、4店舗)と小野商店(大分県宇佐市、2店舗)のスーパー2社を子会社化。リテールパートナーズは傘下に「丸久」「マルミヤストア」「マルキョウ」を置き、山口県と九州を地盤に地方スーパー連合を形成する。
地場スーパーの買収は同業間にとどまらず、異業種からも目立つ。北陸最大手のドラッグストア、クスリのアオキホールディングスはスーパーマルモ(茨城県土浦市)から食品スーパー事業(7店舗)を取り込んだ。ドラッグストアでの食品販売を強化するのが狙い。クスリのアオキは石川県、福島県でも地場食品スーパーの子会社化を決めた。
持ち帰りすしをチェーン展開する小僧寿しは食品小売りに参入するため、だいまる(宇都宮市、屋号:だいまるストアー)を子会社化した。
100円ショップでは2件のM&Aがあった。業界3位のキャンドゥをTOBなどで51%の株式を取得し、子会社化するのはイオン。買付代金は約210億円。100円ショップは市場の成熟化や競争激化で収益環境が厳しさを増しているうえ、人口減少やネット販売の台頭などでビジネスモデルの再構築が急務となっている。キャンドゥはイオングループの一員として新たな展開を模索する。
業界4位のワッツは、同業で関西、関東を中心に「FLET’S」「百圓領事館」などのブランドで約140店舗展開する音通エフ・リテール(大阪市)を子会社化した。こうした動きは業界1、2位の大創産業(ダイソー)、セリアに刺激を与えるとみられ、2022年の展開が要ウオッチとなりそうだ。
◎小売業界:2021年の主なM&A
発表月 | 内容 |
1月 | クオールホールディングス、調剤薬局11店舗経営の勝原薬局(兵庫県姫路市)を子会社化 |
3月 | 小僧寿し、食品スーパー経営のだいまる(宇都宮市)を子会社化 |
〃 | 名古屋鉄道、「金沢名鉄丸越百貨店」をディスカウントスーパーのヒーロー(茨城県牛久市)に譲渡 |
4月 | AFC-HDアムスライフサイエンス、地場百貨店のさいか屋(神奈川県横須賀市)を子会社化 |
6月 | いなげや、高級スーパーの三浦屋(東京都杉並区)を三菱商事傘下の丸の内キャピタルを譲渡 |
7月 | ワッツ、100円ショップ「FLET’S」展開の音通エフ・リテール(大阪市)を子会社化 |
〃 | ウエルシアホールディングス、調剤薬局125店舗展開のププレひまわり(広島県福山市)を子会社化 |
8月 | エイチ・ツー・オーリテイリングと関西スーパーマーケットが経営統合で合意 |
9月 | マックスバリュ西日本とフジが経営統合で合意 |
10月 | イオン、100円ショップ大手のキャンドゥをTOBなどで子会社化 |
11月 | シーズメン、エスニック衣料・雑貨輸入販売のチチカカ(東京都中央区)を子会社化 |
12月 | カインズ、生活雑貨大手の東急ハンズ(東京都新宿区)を子会社化 |
文:M&A Online編集部
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