半導体の再国産化が無理なのは「ウッドショック」を見れば明らか

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半導体不足を受けて政府は国産化強化の旗を振るが…(写真はイメージ)

ワクチンの普及で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威を脱しつつある世界経済で、皮肉にも景気回復に伴う半導体の奪い合いが起こっている。自動車やコンピューター、通信機器、さらには太陽電池まで、半導体不足で生産が滞る事態になった。

半導体強化を「国家事業」に

こうした事態を受けて政府は2021年6月に半導体産業の強化を「国家事業」と位置づけ、国内生産の強化を進める計画を打ち出した。目標は先端半導体の国産化だ。

米市場調査会社のIC Insightsによると、1988年には50%を超えていた日本の半導体世界市場シェアは2020年には6%にまで低下した。30年余りで8分の1以下に激減したことになる。コロナ禍のような「非常事態」や米中対立に伴う「安全保障上のリスク」を考えれば、政府が「国産化は必須」と旗を振るのも無理はない。だが、「品不足で困っているから国産化」は短絡的ではないのか?

ワクチン接種が進んだ米国で、停滞していた住宅需要が一気に動き出し、木材需要が急増。世界中で木材の「取り合い」になり、日本は輸入材価格が高騰する「ウッドショック」が起こっている。半導体と同じ構造だ。

しかし、林野庁は住宅用木材の適切な発注と過剰在庫の抑制を呼びかける通知を出し、全国で需給情報を共有するための会合を開くに留まった。国産材が手つかずのまま有り余っているのに、国は「国産材を増産し、木材の自給率を上げよう」と呼びかけないし、業界からもそのような声は出てこない。なぜか。

1960年代には100%近かった木材自給率は、2000年頃には18.2%にまで落ち込んだ。しかし、地道な人工林づくりや計画植林・伐採による安定的な木材供給を実現することで、現在の木材自給率は30%を超えている。ならばウッドショックを「千載一遇のチャンス」とばかりに国産化率の向上に走りそうなものだが、そうはいかない事情があるという。

輸入材不足は国産材にとってビジネスチャンスではあるが…(写真はイメージ)

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