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泥沼化するヤフー、アスクル騒動 収束のシナリオとは

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アスクル本社のエントランス(同社ホームページより)

完全子会社化による非上場化

上場企業は独立性が求められるため、子会社であっても親会社が社長人事などに関与することは避けなければならない。ヤフーが7月18日に発表したプレスリリースには当初、岩田社長の後任社長に関する記載があったが、東京証券取引所の指摘によってヤフーは翌19日にこの部分を削除したほどだ。

人事だけでなく事業についても同様で、親会社だからといって思い通りにはできない。アスクルは独立性を保つために、一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役と社外監査役を独立役員として選任し、取締役候補や事業運営などについて取締役会に答申する仕組みを導入していた。

アスクルは今回のヤフーの行為について「支配的株主の存在によって、少数株主の利益を毀損する利益相反取引が行われつつある」としている。こうした事態を回避する手段が完全子会社化による非上場化だ。

経営判断をスピーディ-にし、シナジー効果を発揮するため、上場子会社を完全子会社化し非上場化するケースは少なくない。印刷大手の凸版印刷<7911>は7月30日に、共通の企業理念のもとで一体経営を行い、シナジーをさらに発揮することを目的に、書籍や雑誌の印刷を手がける連結子会社の図書印刷<7913>を完全子会社化し非上場化する。

牛丼チェーン店のすき家などを運営するゼンショーホールディングス<7550>も7月30日に、重複する業務の集約化や利益相反関係の排除などを目的に連結子会社であるパスタ専門店ジョリーパスタ<9899>を完全子会社化し、非上場化する。

凸版印刷、ゼンショーホールディングスは、ともに株式交換によって株式を100%取得する。この方法であればアスクルが危惧している少数株主の利益の棄損はなくなる。

ただ株式交換を行うためには、それぞれの取締役会で株式交換契約の締結を決議しなければならないが、現在のアスクルの取締役会がこうした案件を決議する可能性は極めて低い。

もう一つの方法は株式の公開買付と言われるTOB。対象企業の経営陣の賛同を得て行うのが一般的なTOBだが、経営陣の賛同を得ない、いわゆる敵対的TOBといわれる方法もある。今年に入り、デサント、廣済堂(不成立)、さくら総合リートを対象にした3件の敵対的TOBが行われた。この方法であれば、100%の株式を取得できなくても非上場化することはできる。

株式交換TOBともに可能性を検証したに過ぎないが、一つの手段であることは間違いない。8月2日のアスクルの株主総会までにどのような交渉が行われるのか。目が離せない。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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