7月29日に東証マザーズに上場するエンターテイメント企業、ブシロードの公開価格が19日、1株1890円に決まった。2019年に入って40数社が新規上場(IPO)しているが、その中でも知名度や公開規模の点で指折りの銘柄だ。傘下に、国内最大手のプロレス団体「新日本プロレス」を持ち、スポーツ事業でも存在感を急速に高めている。

トレーディングカードゲームが大黒柱

ブシロード上場に伴う公開株数は378万3000株~435万400株。公開価格は仮条件(1840円~1890円)の上限である1890円で落ち着いた。市場からの調達額は最大82億円強。まずは29日の初値が注目される。

公開株数では今年の新規上場企業の中で、日本国土開発(約1547万株、3月)、新日本製薬(560万株、6月)、Sansan(約863万株、6月)に次ぐ4位にランクされる。ちなみに、昨年6月に“ユニコーン”上場と騒がれたフリマアプリ最大手、メルカリの公開株数はひとケタ多い約4355万株だった。

ブシロードは2007年に設立し、トレーディングカードゲームの開発・販売に乗り出した。トレーディングカードゲームはアニメの絵柄や写真が印刷された専用カードを用いて1対1の対面で遊べる。現在「カードファイト!!ヴァンガード」「ヴァイスシュヴァルツ」など4タイトルを展開中。コンテンツはカードゲームだけでなく、アニメやコミック、舞台、オンラインゲームなどとして横展開するメディアミックス戦略を身上とする。

トレーディングカードゲームに次ぐのがモバイルオンラインゲーム。「バンドリ!ガールズバンドパーティ!」「少女☆歌劇 レヴュースタァライト-ReLIVE-」など13タイトルを提供している。

2018年7月期の売上高は前期比27%増の288億円。このうちの約6割をトレーディングカードゲームとモバイルオンラインゲームが占める。これらのエンターテイメント事業が名実ともの経営の大黒柱だが、新たな柱の育成中なのがスポーツ事業だ。

2012年に新日本プロレスを子会社化

ブシロードが新日本プロレスリング(東京都品川区)を子会社化(持ち株比率約57%)したのは2012年のこと。新日本プロレスといえば、アントニオ猪木さんが1972年に創設したプロレス団体。草創期には豊登、藤波辰巳や坂口征二らが活躍した。現在は、内藤哲也、棚橋弘至、オカダ・カズチカ選手ら70人以上のレスラーが所属し、年間に約160試合を開催する。年間延べ40万人の動員を誇る。

新日本プロレス部門の売上高は興行収入とグッズ販売、名勝負の動画配信などのコンテンツサービスを合わせて48億円に上り、過去最高を更新した。

キックボクシングに進出

さらに2016年8月には、キックボクシング興行を目的に100%子会社キックスロード(東京都中野区)を設立。「KNOCK OUT(ノックアウト)」と銘打ったキックボクシングイベントを主催する。こちらの方も、コアなファンをつかみ、動員力を増している。

 「IP(知的資産)デベロッパーを目指す」。ブシロードが掲げる旗印だ。上場を弾みに、新たなコンテンツの創出と多面的展開に向けて、M&A戦略も加速しそうだ。

文:M&A Online編集部