会社提案か、株主提案かー。トップ人事に端を発するLIXILグループの経営対立は6月25日の定時株主総会に向け、いよいよ決戦の火ぶたが切られた。株主の元には総会の招集通知が一斉に送られたが、会社側が同封したのが委任状。会社提案への支持票の取り込みが狙いだ。

委任状を返送すると、議決権の行使を会社に委ねるという意思表示となる。会社側は、前社長兼CEO(最高経営責任者)の瀬戸欣哉氏が自身を含めた取締役候補者の選任を求めた株主提案に否決を要請している。一方、瀬戸氏側は委任状を株主に送付していないものの、独自に開設したホームページで会社側が送付した委任状の廃棄を呼びかけており、事実上の委任状争奪戦に突入している。

会社側、委任状を返送を要請

LIXILグループの定時株主総会における議案は3つあり、いずれも取締役候補者の選任に関するもの。第1号議案は会社が提案する8人(うち1人は社内取締役候補)、第2号議案は会社と株主の双方が提案する2人、第3号議案は株主が提案する6人で、それぞれの賛否を問う内容。

株主総会の招集通知に同封された案内

通常であれば、株主総会の招集通知が手元に送られてくる際、議決権の行使に関する書面は議決権行使書だけ。株主総会に出席しない株主は書面で議案への賛否の意思を表明できる。今回はこれに加えて委任状(議決権行使書とミシン目でつながっている)が同封された。

会社側は、議決権行使書は未記入のまま、委任状は第1号議案と第2号議案に「賛」、第3号議案に「否」としてマル印を記入して捺印・署名のうえで、それぞれ返送するように要請している。

◎会社提案・株主提案 取締役候補者一覧(敬称略)

第1号議案<会社提案>
内堀民雄(元ミネベアミツミ取締役)、河原春郎(元JVCケンウッド会長)
カート・キャンベル(元米国務省次官補)、竹内洋(元財務省関税局長)
福原賢一(ベネッセホールディングス副会長)、松﨑正午(コニカミノルタ取締役会議長)
三浦善司(元リコー社長)、大坪一彦(LIXIL社長)
第2号議案<会社提案・株主提案>
鬼丸かおる(元最高裁判所判事)、鈴木輝夫(元あずさ監査法人副理事長)
第3号議案<株主提案>
西浦裕二(元アクサ生命保険会長)、濱口大輔(元企業年金連合会理事)
伊奈啓一郎(LIXILグループ取締役)、川本隆一(LIXILグループ取締役)
吉田聡(LIXIL取締役)、瀬戸欣哉(LIXILグループ取締役)

※LIXILはLIXILグループ傘下の中核事業会社

瀬戸氏「委任状破棄を」

一方、瀬戸氏ら株主提案側はホームページの中で、委任状は必ず破棄して、議決権行使書は第1号議案の「否」、第2号議案と第3号議案の「賛」にマル印を記入するよう株主に要請。たとえ、委任状の第1号議案にバツ印、第3号議案マル印につけて返送してもカウントされないとして、注意を呼び掛けている。

会社提案は、一連の混乱を踏まえ、次期取締役は現任取締役を含まない構成に刷新するとし、社外取締役主導の取締役会のもとで創業家の影響力を排除するなどとしている。これに対し、株主提案側は会社提案の取締役候補者が創業家一族である潮田洋一郎氏(現取締役兼CEO)の意に反する行為を行うことは期待できないなどと断じている。

会社側は株主提案を支持しない理由として、現在の取締役が再任されれば内部分裂が収束せず、混乱の長期化が予想されるほか、瀬戸氏がCEOに選定されることを前提に発言を行うなどガバナンスの根本的理解に疑義があることなどを挙げている。