リクルートは後継者のいない企業のM&Aを支援する「事業承継総合センター」事業の本格展開に乗り出した。2018年10月に事業に着手し、2019年3月に第一号のM&Aが成立したことから、事業の育成に本腰を入れることにした。今後人員を増やし、2020年3月末までに10件程度のM&Aの成立を目指す。 

M&A成立件数を年間数百件に

事業承継総合センター」事業は後継者がいないために企業売却を検討している経営者に、最も適した買い手企業を紹介するサービス。数10社のM&A仲介会社から買い手情報を提供してもらい、売り手企業の希望にあった買い手企業と仲介会社を結びつける。

1社のM&A仲介会社では地域や業種、規模などの面で買い手情報に限りがあるが、多くの仲介会社の買い手情報を集めることで売り手企業の選択肢を広げた。着手金は不要で、M&Aが成立した際に費用が発生する仕組みのため、同社では「(中小企業経営者から)安心して相談できるとの声が寄せられている」(三木武人事業承継総合センター事業責任者)としている。 

すでに買い手企業の情報は4000件以上保有しており、これまでに250社ほどから企業売却の相談があった。250社の年商は5000万円から10億円ほどで、業種は情報・サービス業や製造業が多いという。

リクルートは35年以上前から社内新規事業起案制度「Ring(リング)」を運用しており「事業承継総合センター」事業も同制度から生まれた。当初は2人でスタートし、現在は10数人が同事業に携わっている。 リクルートでは後継者不在によるM&Aは増加傾向にあるとみており、将来はM&A成立件数を年間数百件にまで高めたい考え。

経済産業省は今後10年ほどの間に70歳を超える中小企業経営者約245万人のうちの半数が後継者が決まっておらず、M&Aなどを行わずにそのまま廃業すると、2025年ごろまでに650万人の雇用と22兆円のGDP(国内総生産)が失われる可能性があると分析している。

文:M&A online編集部