グルメサイトを運営するぐるなび<2440>株主の楽天<4755>が、保有比率を9.6%から15%に引き上げます。ぐるなび代表取締役会長の滝久雄氏から株式を譲り受け、筆頭株主に躍り出ることとなりました。6月19日開催の株主総会では、楽天が指名する取締役選任議案を提出する予定。その中には代表取締役候補者も含まれているようです。
ぐるなびは加盟店の減少とユーザー離れが深刻で、直近の営業利益は前期比74.4%減の12億1600万円まで落ち込みました。楽天との資本提携はぐるなびを救うのでしょうか?
楽天がぐるなびに近づく理由は、全国の飲食店に楽天の経済圏を広めたいからです。楽天は2019年4月から新体制に移行。子会社を大きく4つに分割しました。その中でも期待がかかるのが、決済事業です。
事業を拡大するには、電子マネー「楽天Edy」や決済アプリ「楽天ペイ」の利用者と加盟店を増やすことが必須。全国に広がる飲食店は、決済インフラを広めるチャンスとなります。
現在、楽天のスマホ決済ネットワークは300万。ぐるなびの有料加盟店数は5万7000。ぐるなび会員数は1700万人です。キャッシュレス化を進めたい楽天にとって、ぐるなびが持つ財産は魅力的です。
飲食店選びと、キャッシュレス化の相性が良いのもポイント。Web上で予めコースを予約して決済をしたり、レストランの利用後に自動決済する仕組みが整えば、店舗で支払う煩わしさから解放されます。
飲食店はかつて、電話帳に登録する代わりにぐるなびに加盟していたそうです。しかし今は競合サービスも増え、逆境の真っただ中。2019年3月期の売上高は前期比9.7%減の327億2800万円。営業利益は74.4%減の12億1600万円となりました。
減収の原因は飲食店販促サービスのうち、ストック型サービスが前期比12.4%落ち込んだことによるものです。要するに、有料加盟店が離れているのです(下の赤の棒グラフがストック型サービス)。
人件費の比率が高いビジネスのため、原価・販管費で売り上げ減を調整することが極めて難しく、営業マンが飲食店に行けど契約は取れずといった状態。ぐるなびは営業マンを飲食店の集客コンサルタントに仕立て、営業力を強化しようとしましたが、うまくいきませんでした。
資本提携により、両社が保有するデータを相互活用してマーケティングなどに用いるほか、ネット予約拡大に向けた協業を開始するとしています。楽天の後押しで「ぐるなび」が再び飲食業界の王者となるのか、注目です。
文:麦とホップ@ビールを飲む理由
しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。 ブログはこちら 「ビールを飲む理由」