2018年に件数、金額とも過去最高を更新したM&A。2019年に入っても昨年を上回るペースでM&Aが成立している。これに伴って仲介業などのM&A人材の採用ニーズが高まってきた。どのような状況なのかM&A人材の紹介を手がける「ムービン・ストラテジック・キャリア」「ジェイ エイ シー リクルートメント」「リクルートキャリア」の3社に現状を聞いた。

高い採用決定率

ムービン・ストラテジック・キャリア(東京都港区)パートナー・片岡浩章さん

-「ファンド・M&A 金融転職」というサイトで、金融・M&A人材の転職支援を行っていますね。

2008年にこの専門サイトを立ち上げました。当初M&A仲介の領域はあまりニーズが多くなかったのですが、2016年以降徐々に増えてきました。弊社は選考情報の共有や面接対策など専門的に支援する体制をしっかりと整えておりますので、紹介した方の採用決定率は高いですね。

-M&A人材に対する採用ニーズはどういう状況ですか

大変高いですね。企業は事業承継問題や事業の競争激化などで、売り手も買い手もM&Aのニーズが高い状況にあります。このため仲介会社を中心に案件が豊富にあり、M&Aの仲介を行える人材ニーズが高まっています。また仲介とは異なる人材像になりますが、大企業のM&Aや経営企画などの部門、いわゆるFAS(ファイナンシャル アドバイザリー サービス=企業を対象に問題解決を支援するコンサルティングファーム)と呼ばれるアドバイザリーファームでもM&A人材を求めるニーズが高い状況です。

-実際の数字としてはいかがですか。

ざっとですが、企業の募集人数は昨年の2倍になっており、M&A分野の仕事に就きたいという求職者は昨年の1.5倍ほどに増えています。特にM&A仲介では高い数字となっています。

ムービン・ストラテジック・キャリアの片岡パートナー

-どのような人材が求められていますか。

M&A仲介では財務会計のほか、法人営業、新規開拓、中堅・中小経営者との折衝などに関する経験やスキルがあるかを注視しています。特に営業力については、具体的な営業成績、例えば新規開拓件数などが社内の営業メンバー内で上位10%以内に入っているかなどを明確に見てきます。

-M&Aでの営業力というのはどういう力を言うのでしょうか

一つは初回のアポイントをしっかりとれるのかということ。もう一つは中堅中小企業の経営者との折衝力ですね。いかに経営者を引き込めるか、という点がとても重要になります。このような経験を培ってきた銀行業界や証券業界出身者の方は即戦力になりやすい傾向にあります。その他としましては、MR(医薬情報担当者)、広告代理店、保険会社、不動産会社で高い営業成績を挙げてこられた方などにも採用の対象が広がっています。

M&A仲介会社の数は、ここ数年で私の知る限り倍以上に増えています。大手企業も新規事業として参入してきており、M&A案件を取れる優秀な人材の採用を強めています。ただ採用要件のハードルが下がっているわけではないので、売り手市場とはいえM&A仲介希望者は十分な選考対策が必要です。

ムービン・ストラテジック・キャリア】1997年にコンサルティングファーム関連の転職支援を行う企業としてスタート。業界の草分け的な存在で、現在は金融業界をはじめ幅広い業界の転職支援を行っている。