オイシックス・ラ・大地<3182>の北米挑戦が5月末から始まる。米国でビーガン(絶対菜食主義者)食の宅配事業を手がけるThree Limes,Inc(ボストン)の子会社化を足がかりに北米市場を攻める作戦だ。

海外事業はオイシックス(oisix)ブランドでアジア展開しており、今回北米が加わることで、同社では「ビーガン食と日本食という健康を意識した食品のアジアと米国を股にかけたグローバル展開は世界初の取り組み」と強調する。今後、米国で日本食の提供や日本でのビーガン食の提供などの可能性が見込めそうだ。

2020年3月期は営業減益に

オイシックス・ラ・大地は2017年に、オイシックスと大地を守る会を経営統合した「オイシックスドット大地」がスタート。2018年2月に、NTTドコモ傘下で有機野菜などの宅配サービスを手がける「らでぃっしゅぼーや」を子会社化し、同年7月にオイシックス・ラ・大地に社名を変更。同年10月にはシナジー効果を高めるため、らでぃっしゅぼーやを吸収合併した。

現在は「オイシックス」「大地を守る会」「らでぃっしゅぼーや」の3事業を中心に、ウェブサイトやカタログによる有機野菜や特別栽培農産物、無添加加工食品、安全性に配慮した食品、食材の販売などを手がけている。

Three Limesはビーガン食の宅配サービスを米国48州で展開しており、2018年12月期には4031万ドル(約44億円)の売り上げを計上した。ただ利益の方は厳しく、同期の当期純損益は442万ドル(約4億8000万円)の赤字だった。

ビーガンは動物の商品化を否定し、動物系の製品を排除した生活様式を実践する人たちで、海外をはじめ日本国内でもビーガン食を取り扱うレストランが増えている。その一方で、海外では急進的なビーガンによる精肉店への襲撃などの事件も発生している。

オイシックス・ラ・大地は、らでぃっしゅぼーやを吸収したことで、事業が急拡大しており、2019年3月期は売上高が640億2600万円と、前年度比60.1%の増収となった。営業利益も23億1200万円と、同約2.6倍の増益を達成した。

2020年3月期はThree Limesが加わるため、売上高は前年度比9.3%増の700億円を見込む。ただ営業利益はThree Limesが赤字のため同4.9%減の22億円にとどまる見通しだ。

オイシックス・ラ・大地は、5月末からThree Limesの収益性の改善に取り組むとともに、米国市場を含めた幅広い顧客をターゲットに、食材宅配のノウハウや生産者のネットワークなどを活用した事業を展開する計画という。

需要が拡大しているビーガン食を取り込むことで、成長を実現できるのか、それとも過激化するビーガンによる精肉店などへの襲撃が成長の足を引っ張るのか。同社の舵取りに注目が集まる。

オイシックス・ラ・大地の売上高推移(単位:億円)20/3は見込み
オイシックス・ラ・大地の営業利益推移(単位:億円)20/3は見込み

文:M&A online編集部