東京都心部は東京2020五輪・パラリンピックを控え、建設ラッシュが続いている。そんな中、「令和元年」に合わせて、新本社を構える企業も少なくない。
平成から令和への改元に伴う10連休明けの5月7日、五反田(品川区)の新本社で業務をスタートしたのは駐車場最大手のパーク24。同社は1971年に五反田で産声を上げた。2007年から有楽町に本社を置いていたが、自前のビルを建設し、創業の地にグループ挙げて“再結集”した。
地上13階建ての新本社には、50台収容の駐車場「タイムズパーキング」を整備したほか、レンタカーとカーシェアリングを組み合わせた新サービス拠点「タイムズカー」を設置した。2階には憩いの場「タイムズカフェ」をオープンし、6月3日からオリジナルコーヒーなど飲料の提供を始める。
パーク24は「タイムズ」ブランドで無人駐車場を全国1万7700カ所で運営する。市場拡大中のカーシェアでも会員100万人を突破し、同社の独走状態。2017年にはアジア・オセアニア、英国で総額420億円を投じる大型M&Aを実施し、駐車場事業のグローバル展開に乗り出している。
家電量販店「ヨドバシカメラ」を運営するヨドバシホールディングスは3月、新宿区内の新本社(8階建て)に移転した。同社はもともと新宿区内に本社を置いているが、2010年に取得した旧東京厚生年金会館の跡地に新本社ビルを建設した。
旧東京厚生年金会館(1961年開館)といえば、コンサートホールの代名詞として一世を風靡したことで知られる。新たな本社には11月をめどに「カメラ博物館」を開設する計画で、マニア垂涎の名品・逸品が並ぶことになりそうだ。
来年の東京五輪・パラを控え、日本スポーツ界の総本山も移転した。岸記念体育会館(渋谷区)に代わる新拠点として、工事中の新国立競技場の隣接地にこのほど完成したのが「ジャパン・スポーツ・オリンピック・スクエア」(新宿区)。日本オリンピック委員会、日本スポーツ協会、61競技団体が事務局を構える。
地上14階建てで、館内には「日本オリンピックミュージアム」を設ける。岸記念体育会館は前回東京五輪が開催された1964年に完成したが、50年以上が経過して老朽化が進み、お役御免になる。
一方、神戸から東京に本社所在地を移すのは、うどん店「丸亀製麺」を展開するトリドールホールディングスだ。時期は9月となる見込み。移転先は渋谷区道玄坂に3月末に完成した大型オフィスビル「渋谷ソラスタ」(21階建て)で、現在、品川区に分散している本部機能も集約する。
北米やアジアなど海外事業が急速に拡大する中、グループの中枢機能を一元化するのが目的。ビジネス判断とはいえ、関西有力企業の東京シフトを改めて印象づける格好だ。
文:M&A online編集部
経営再建中のジャパンディスプレイは、台湾のタッチパネルメーカーや中国系投資ファンドなどで構成するSuwaコンソーシアムから総額800億円の金融支援を受けることで合意した。