ソニーの元CEO(最高経営責任者)である出井伸之氏がベンチャー企業における直接金融の重要性を訴えた。

出井氏は「ソニーは戦後すぐに誕生した。当然ながらお金が無かった。このためベンチャーを支援する方々を探し出し出資していただいた。個人的に投資できるのは非常に重要」 

「ベンチャーには二つの死の谷がある。一つは上場して間もなくの死の谷で、2番目の死の谷は成長期。私がソニーに入ってからは何十倍に成長してもお金がなかった。銀行からお金を借りる間接金融だけでは足りない。企業にとって直接金融がどれだけ重要なことなのかを身をもって感じている」と発言。 

「(個人がベンチャーに出資できる仕組みを作った)日本クラウドキャピタルは大きな門を開いた」と、同社事業の将来性に強い期待を寄せた。

個人投資家に資金が還流する仕組み作りを

日本クラウドキャピタル(東京都品川区)は2019年7月2日に事業戦略発表会を開催。その席上、出井氏がゲストスピーカーとして登壇し、直接金融の重要性を説いた。

同社は2015年に設立。個人がベンチャー企業の株式をスマートホンなどで買える「FUNDINNO」を立ち上げ、これまでに1万6700人ほどが出資し、累計の成約額は21億円ほどに達している。

2019年8月にベンチャー企業株の新しい買い方として新株予約権の売買サービスを始める。さらに同年10月には財務諸表の作成や事業計画、株主管理などが簡単にできるシステム「FUNDOOR」のサービスも提供する。

日本ではベンチャー企業への投資が米国の50分の1ほどと少なく、評価額が10億ドル(1080億円)以上のユニコーンとよばれる企業数は100分の1以下という状況にある。

この理由の一つが、ベンチャー企業への投資がベンチャーキャピタルや大企業が行っているコーポレートベンチャーキャピタルに限られているためで、この状況の改善策として個人がベンチャー企業の株式を買える仕組みを作ったという。

日本クラウドキャピタルの代表取締役CEOの柴原祐喜氏は「ベンチャー企業の成長を支援してIPO(新規株式公開)やM&Aなどを実現するほか、未上場株の相対市場に参加することによって個人投資家に資金が流れていく仕組み、いわゆるリスクマネーの循環サイクルを作る」とアピールした。

リスクマネーの循環サイクル(同社発表資料より)

文:M&A online編集部