ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>が人工知能(AI)に大きく舵(かじ)を切った。プロ野球「横浜DeNAベイスターズ」のチーム強化や石炭火力発電所の燃料運用最適化、次世代タクシー配⾞アプリ、運動行動改善による交通事故削減、創薬支援など、AIを利用したソリューション(解決策)提供を進めている。しかし、テーマがバラバラで方向性はみえない。DeNAはAIを使って何をしたいのか?  責任者であるAI本部AI戦略推進室の村上淳室長に聞いた。

AIの研究テーマは、どう選ぶ?

-DeNAのAI研究は多岐にわたっています。どのような基準で研究テーマを選んでいるのですか?

村上 DeNAは「Delight and Impact the World」(世界中に衝撃を与えるようなサービスで喜びを提供する)とのスローガンを掲げており、それに沿ったテーマを選んでいる。インターネットやAIを活用し、世の中にデライト(喜び)を届けていく。現時点では実際に活用してパートナーや社会に具体的な価値を提供できるものがテーマになっており、いわゆる「応用領域」のAI研究が中心だ。

-AIの研究テーマは、DeNA側がパートナーに提案するのですか?それとも持ち込まれる?

村上 DeNA側から「こういう課題解決してはどうか」と働きかけるシーズベースのものもあるが、多くはパートナーから寄せられた課題を解決するニーズベースのテーマ。持ち込まれるテーマは玉石混交なので、パートナーと議論しながら問題点を洗い出していく。データサイエンス(データを用いて科学的および社会に有益な知見を引き出す分析手法)などを活用できそうなテーマでれば、AIを使った解決に取り組む。

-解決できそうにない「筋の悪い」テーマもあるのですね。

村上 AIとの相性が、よくないものもある。AIはデータドリブン(得られたデータをもとに次のアクションを起こし、新たなデータを得る…を繰り返して予測精度を上げる)の世界なので、ルールベースのように「こうなったらこうなる」「白か黒か」といった判断が必要な用途には使いにくい。

「AIは白か黒かといったルールベースの判断には適さない」と指摘する村上さん