武田薬品工業<4502>は2021年4月1日に、血漿分画製剤事業を主力とする子会社の日本製薬(東京都中央区)を完全子会社化する。

アイルランドの製薬会社シャイアーを買収した2019年以降、血漿分画製剤事業が武田薬品の中核事業となり、急速に成長しているため、日本製薬を完全子会社化することで、血漿分画製剤事業の連携を強化するのが狙いだ。

武田薬品の血漿分画製剤事業を担う日本製薬とはどのような企業なのか。

治療法の確立していない病気の薬剤開発に注力

日本製薬は1921年に大阪市内で設立した大五製薬(後に大五栄養化学に社名を変更)と、1946年に東京都中央区で設立した日本製薬が1987年に合併して発足した企業。長年血漿分画製剤を中心に、消化器領域薬や殺菌消毒剤などの事業を手がけてきた。

信用調査会社によると2020年3月期の売上高は前年度比2.9%減の178億3200万円、当期利益は同50.0%減の12億2800万円で、2期連続の減収減益となっている。

日本製薬が主力事業とする血漿分画製剤はヒトの血液を原料とする薬剤で、たんぱく質やブドウ糖、脂質、ビタミンなどを含む液体である血漿から、たんぱく質だけを取り出して製造する。

血漿中には100種を超えるたんぱく質が含まれており、製品化されている主な薬剤として血管内に水を保持する働きを持つアルブミン製剤や、抗生物質が効かない重い感染症などに用いる免疫グロブリン製剤、止血に重要な働きをする血液凝固因子製剤などがある。

日本製薬はこれら血漿分画製剤の製造販売のほか、「血漿分画製剤には未知の可能性がある」とし、治療法の確立していない病気を対象にした薬剤開発にも力を注いでいる。

このほか内視鏡検査を効果的にするための胃の蠕動(ぜんどう= 筋肉の収縮が移行する動き)運動を抑える薬剤や、黄色ブドウ球菌などの細菌に有効な殺菌消毒剤などの製品も持つ。

【日本製薬の業績推移】単位:億円

  2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期
売上高 184.84 183.58 178.32
当期利益 26.72 24.57 12.28

株式交換で日本製薬株を100%保有

武田薬品は日本製薬の87.3%の株式を保有しており、日本製薬株式1株に対して、武田薬品株式1.20株を割当交付する株式交換で保有割合を100%に高める。

完全子会社後は、武田薬品が有する血漿分画製剤の新薬候補物質や、製造技術、事業インフラなどを日本製薬が活用し、血漿分画製剤事業の拡大に取り組む。

武田薬品はシャイアー買収に伴い「血漿分画製剤事業は最も速く成長している領域の一つとなり、同事業を主力事業とする日本製薬の当社グループにおける役割は、これまで以上に重要となった」と、完全子会社化の理由を説明している。

文:M&A Online編集部