JR東日本<9020>が2021年10月から11月にかけて新幹線の自動運転試験を始める。2014年に運用を始めたE7系新幹線を利用し、新潟駅と新潟新幹線車両センターの約5kmで実施する予定だ。しかし、実は1964年の東海道新幹線開業時から自動運転は「可能」だったという。

理論上は東海道開業時から自動運転も可能

東海道新幹線にはアナログ方式の「ATC−1型」が採用された。ATCとはAutomatic Train Control」の略称で自動列車制御装置のこと。すでに旧日本国有鉄道(国鉄)では列車衝突事故防止のために停止信号に接近した時に警報を発し、運転士のブレーキ操作が遅れると自動ブレーキをかけて緊急停止するATS(Automatic Train Stop=自動列車停止装置)を導入していた。

しかし、最高時速200kmを超える新幹線では、気象条件などによって信号の視認が難しい状況も考えられた。しかも、高速で走行する新幹線の場合、ATSでは警報から緊急ブレーキをかけるまでの間隔が非常に短い。そのため高速運行中に急停車が頻発する事態が懸念された。

そこで開発されたATCは、時速210km、160km、110km、70km、30km、0kmと段階的に自動ブレーキをかける。制限速度以下に減速した後はブレーキが自動的に緩む仕組みだ。

理論上は「ブレーキが緩んだら、その時点での速度を維持する」といった具合にマスター・コントローラー(マスコン)をATCの動作に連動させて定速走行するか、極端な話「入れっぱなし」にしておけば自動運転も可能になる。

在来線の乗務経験しかなければ「新幹線は自動運転」と思っているJRの運転士も少なくないというが、もっともな話なのだ。

実用性を無視すれば、東海道新幹線でも自動運転は可能だった(Photo by umehanayuuki)