飲食店や商業施設、食品工場などの企画、設計、施工を手がけるラックランド<9612>は2020年11月末までに、飲食スペースを持たないデリバリー(出前)専業の「クラウドキッチン」に対する支援事業に参入する。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、デリバリーサービスの利用者が増えており、今後クラウドキッチンへの需要が高まると判断、新事業を立ち上げることにした。

赤字転落企業が相次ぐなど飲食業界は厳しい経営環境さらされているが、コロナ禍を逆手にとったこうした新しいビジネスに関心が集まりそうだ。

1年以内に20カ所を開設

ラックランドは60平方メートルほどのスペースに3セットのキッチンを備える施設を基本タイプとして、1年以内に関東の都市部20カ所ほどに同施設を開設する。

飲食店の開業を目指す個人やスタートアップ企業などを対象に、支援も事業目的に据え低価格でクラウドキッチンを貸し出す計画。

すでに東京都内1カ所に同様の施設を設置しており、クラウドキッチン運用のノウハウ蓄積のため、自社でサラダをデリバリーするクラウドキッチンの企画、サブリース、サブスクモデルによるシェアキッチン事業を始める。

クラウドキッチン事業参入に先立ち、子会社のハイブリッドラボ(宮城県石巻市)が2020年6月に、水産加工を手がけていたマルセ秋山商店(宮城県石巻市)の設備や従業員を譲り受け、食品加工技術の開発や食品加工事業をスタートした。

急速冷凍することで水産加工品などの鮮度を長時間保つことができる製氷機ハイブリッドアイスを用いた高鮮度の冷凍加工法を開発する予定で、クラウドキッチンの利用者にはハイブリッドラボが加工した食材の提供も行う。

将来は中小企業向けに、ラックランドが調理設備のある物件を手配し、ハイブリッドラボで加工した食材を提供し、グループ企業が手がける厨房機器で調理するといったクラウドキッチンパッケージを提供する。

M&Aは第2ステージに

望月圭一郎ラックランド社長

ラックランドは建築施工をはじめ厨房機器、照明、建築金物など幅広い分野で事業を展開している。M&Aを積極的に活用することで事業領域を拡げており、現在の傘下企業28社中、16社はM&Aでグループ化した。

同社の望月圭一郎社長は「これまでのM&Aで必要な分野はそろった。今後は横ぐしやスパイスのように28社全社に効果のあるようなM&A、全社の生産性が上がるようなM&Aが中心となる。M&Aの第2ステージに入ったと言える」としている。

 文:M&A Online編集部