新型コロナ下、国内を舞台にまたもや超大型のM&Aが持ち上がった。NTTは29日、4兆2544億円を投じて、携帯電話事業を手がける上場子会社のNTTドコモにTOB(株式公開買付け)を実施すると発表した。コーポレート・ガバナンス(企業統治)上、問題点が指摘される親子上場の解消が眼目だが、国内企業へのTOBとして過去最大規模だ。

ドコモ、1998年以来の上場に決別

NTTは現在66%強を保有するドコモ株式を追加取得し、完全子会社化を目指す。買付価格は1株3900円で40%あまりのプレミアムを加えた。買付期間は9月30日~11月16日。TOBが成立すれば、ドコモは1998年以来の上場から外れる。

TOBとしては今年4月に成立した日立化成に対する昭和電工の案件がこれまでの最大だった。買付代金は8445億円(所有割合で約88%。完全子会社化による最終的な買収金額は約9600億円)に達したが、これをはるかに上回るのが今回のNTT案件だ。

◎TOB金額:上位10案件 (HDはホールディングスの略)

対象企業買付者買付金額(買付後の所有割合)実施年
NTTドコモNTT4.2兆円2020年
日立化成昭和電工8445億円(87.61%)2020年
日立ハイテク日立製作所4271億円(90.55%)2020年
三洋電機パナソニック4037億円(50.22%)2009年
ZOZOZホールディングス4007億円(50.1%)2019年
田辺三菱製薬三菱ケミカルHD3966億円(91.57%)2019年
カルソニックカンセイ米KKR3289億円(95.21%)2017年
ソニーフィナンシャルHDソニー3215億円(93.46%)2020年
パナソニック電工パナソニック2641億円(83.93%)2010年
三洋電機パナソニック 2610億円(80.98%)2010年

超大型M&Aが8月から続出中

実は、日本のM&A史に残る超大型案件が8月、9月と続出している。金額1兆円を超える案件が4件発生し、このうち2件が4兆円という破格のスケール。

しかも、日本企業が買い手、売り手の立場にとどまらず、買収のターゲットになったり、今回のように親子上場解消を目的したりとすべてパターンが異なるのが特徴だ。

先陣を切ったのはセブン&アイ・ホールディングス。米国3位のコンビニ「スピードウェイ」を約2.2兆円で買収することを決めた。買収金額は、日本企業による海外企業買収として歴代4位となる。

国内塗料メーカー首位の日本ペイントホールディングスは、筆頭株主のシンガポール同業大手ウットラム・グループの傘下に入ることになった。ウットラムは約1兆1800億円で第三者割当増資を引き受け、日本ペイントを子会社化する。

ソフトバンクGは4.2兆円で英アーム売却へ

9月に入ると、ソフトバンクグループ(SBG)が傘下の英半導体設計大手のアームを約4.2兆円で売却すると発表した。相手は米半導体大手のエヌビディア。SBGは2016年、約3.3兆円を投じてアームを買収したが、今回、売り手に回ることで1兆円近い差益を手にする。

文:M&A Online編集部