世界初の量産電気自動車(EV)として2009年に登場した三菱自動車<7211>の「i-MiEV(アイミーブ)」が2020年度中に生産中止になるという。11年間にわたり販売を続けてきたが、累計販売台数は約2万3700台と平均で年間2000台ペース。累積販売台数ですら損益分岐点の年間販売3万台に届かなかった。2019年度は219台にまで落ち込み、ついに生産中止となる。

「生産中止=EV撤退」とは限らない

後継車の予定はなく、順当にいけば親会社の日産自動車<7201>や、その親会社の仏ルノーからEVの供給を受けることになるが、3社のアライアンス(企業連合)はカルロス・ゴーン元ルノー会長の逮捕に伴う退任後はぎくしゃくしている。最悪の場合は、どこからもEVの供給を受けられない可能性もありそうだ。

とはいえ三菱自のエコカーには販売が堅調なプラグインハイブリッド(PHEV)の「アウトランダーPHEV」が存在する。追い越しなどパワーが必要な場面ではエンジンの力でタイヤを駆動する「パラレル走行モード」に移行するが、通常走行ではエンジンは発電のみに使われモーターの力で駆動する。

そのため「アウトランダーPHEV」はEVとの親和性が高い車種といえる。バッテリーの性能向上と価格破壊が進めば、EVへの移行も不可能ではない。つまりi-MiEVの生産中止をもって三菱自がEVから撤退すると判断するのは早計なのだ。

i-MiEVは世界初の量産型EVだけあって、大手電力会社と協力して研究開発を進めた。国内電力会社7社に40台の試験車両を提供して延べ29万5000 km、約5億件もの走行データが収集された。i-MiEVが収集した走行データは、今後の新たなEV開発に生かされていくだろう。三菱自の新たなEVの登場に期待したい。

文:M&A Online編集部