ビフィズス菌が新型コロナの感染を防ぐ「新ワクチン」の仕組みとは

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写真はイメージです

神戸大学大学院科学技術イノベーション研究科の白川利朗教授を研究開発代表とするグループは、医薬品メーカーの森下仁丹<4524>と共同で、ビフィズス菌で新型コロナウイルスの感染を防ぐ、新しいタイプのワクチンの開発に乗り出した。

同ワクチンは菌体表面に新型コロナウイルスの表面にある、たんぱく質(抗原たんぱく)を作り出すように遺伝子操作した生きたビフィズス菌をシームレスカプセルに詰め込んだもので、完成すれば注射の必要ない飲むワクチンとなる。

すでに日本医療研究開発機構の「新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発」に採択されており、神戸大学が遺伝子操作ビフィズス菌を、森下仁丹がシームレスカプセルを担当する。

神戸大学によると「ビフィズス菌を培養するだけで簡便に大量生産が可能で、常温保存可能な凍結乾燥粉末という汎用性もある」としている。

遺伝子操作ビフィズス菌で腸の免疫を活用

同ワクチンは遺伝子操作ビフィズス菌を用いて、腸に備わっている免疫を活用することで、全身性の液性免疫(抗体産生)や、細胞性免疫(T細胞反応)を誘導し、新型コロナウイルスの感染を防ぐ。

ビフィズス菌はそのまま飲んでも胃酸に晒され、ほとんどの菌が腸まで届くことができないため、シームレスカプセルに詰めて経口投与する。

森下仁丹が開発したシームレスカプセルは胃酸によるダメージを防ぎ、菌を腸まで届けることができるほか、室温で18カ月間保管することも可能。

カプセルのサイズは直径1-8ミリメートルで、ビフィズス菌を保護層と耐酸性皮膜で包んだ構造を持つ。

シームレスカプセル(同社ホームページより)

将来の業績への貢献を期待

森下仁丹は1893年に薬種商「森下南陽堂」として、大阪市東区で創業。1905年に現在でも販売している銀粒仁丹の前身にあたる赤大粒仁丹を発売し、1922年には主力商品の仁丹に継ぐ商品として仁丹体温計と、仁丹ハミガキを発売した。

カプセル技術については1978年に液体仁丹をカプセルに詰めたクリスタル仁丹の開発に成功、1993年にはビフィズス生菌をカプセルに詰めたビフィーナ10を発売した。

2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で、売上高95億円(前年度比2.8%減)、営業利益3億円(同33.9%減)、経常利益3億円(同40.8%減)、当期利益1億9000万円(同41.0%減)と減収減益の見込み。

新型コロナウイルスワクチン向けのシームレスカプセル事業については、2021年3月期業績への影響は軽微とするものの、将来の業績への貢献は「期待できる」としている。

森下仁丹の沿革
1893 薬種商「森下南陽堂」として、大阪市東区で創業
1905 「銀粒仁丹」の前身にあたる「赤大粒仁丹」を発売
1922 主力商品の仁丹に継ぐ商品として「仁丹体温計」を発売
1922 「仁丹ハミガキ」を発売
1978 カプセルを用いた商品「クリスタル仁丹」を発売
1993 ビフィズス生菌カプセル「ビフィーナ10」を発売

文:M&A Online編集部

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