ニコラ・テスラは19世紀中期から20世紀中期にかけて活躍した発明家だ。テスラ変圧器を発明し、交流送電を提唱。直流送電を手がけた発明王のトーマス・エジソンとの「電流戦争」で勝利したことで知られる。彼自身は亡くなった後に、まさか自分の名前が二つの電気自動車(EV)メーカー名になるとは想像もしなかっただろう。EVトラックの米ニコラと、EV乗用車の米テスラだ。

GMの「二股戦略」に、ホンダは…

そのニコラに、米ゼネラル・モーターズ(GM)が出資することが明らかになった。ニコラ株の11%を20億ドル(約2100億円)で取得し、取締役1人を送り込む。GMは生産拠点を持たないファブレス企業であるニコラのEV・燃料電池(FCV)ピックアップトラック「バッジャー」の生産を手がけ、2022年末までに生産を始める計画だ。

GMといえば、ホンダ<7267>とEV開発で協業関係にある。2020年4月にはGMのグローバルEVプラットフォームと「アルティウム」バッテリーを採用したホンダ向けのEV2車種を共同開発することで合意した。

ホンダが供給を受けるGMのグローバルEVプラットフォームと「アルティウム」バッテリー(GMホームページより)

しかもGMはホンダとは資本関係にまで踏み込まなかったが、スタートアップのニコラには出資している。ニコラの参入により、GMの電動車(EV・FCV)戦略でホンダの立場はどうなるのか?

実際のところ「ニコラと提携したから、もうホンダは用なし」とばかりに切り捨てられる懸念はない。GMの電動車戦略において、ニコラは「FCV技術の買い手」なのに対して、ホンダは「EV技術の買い手」という位置づけだからだ。

GMがニコラに期待しているのは、「ハイドロテック」燃料電池システムの供給。もちろんGMはニコラ「バッジャー」のEVバージョンに「アルティウム」バッテリーを供給するし、ホンダが求めれば「ハイドロテック」燃料電池を提供するのは間違いない。が、それはあくまで「例外的」な取引だ。なぜか。