新型コロナウイルス感染症の治療薬として「アビガン」が承認される見通しとなった。日本では2020年5月に「レムデシビル」が、同年7月に「デキサメタゾン」が承認されており、「アビガン」が承認されれば3番目の治療薬となる。 

「レムデシビル」は新型コロナウイルスの増殖を抑えるRNA合成酵素阻害薬で、「デキサメタゾン」は炎症を抑えるステロイド薬、「アビガン」はレムデシビルと同じRNA合成酵素阻害薬だが、対象となる患者が異なる。それぞれどの程度の効果があるのだろうか。 

陰性化までの日数が3日短縮 

富士フイルム富山化学(東京都中央区)は、新型コロナウイルス感染症患者を対象にした臨床第3相試験で、「アビガン」を投与することで患者の症状が軽くなり、ウイルスの陰性化までの日数が短くなることを確認した。 

また安全性上の新たな懸念もなかったことから、同社では10月にも新型コロナウイルスの治療薬として「アビガン」の製造販売の承認を申請するという。 

「アビガン」は、すでに国内では抗インフルエンザウイルス薬として製造販売承認を取得している錠剤(経口投与)で、ウイルスが複製する際に必要な酵素RNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐことができる。 

臨床試験は非重篤な肺炎を有する156人に対して行われ、偽薬を投与したグループではウイルスの陰性化までの日数が14.7日だったのに対し、「アビガン」を投与したグループでは11.9日で、3日ほど短くなった。

富士フイルム富山化学のニュースリリースより

レムデシビルは重症患者向け 

「レムデシビル」は米国の製薬会社ギリアド・サイエンシズ(カリフォルニア州)が開発した治療薬で、ウイルスが増殖する際に必要な酵素の働きを抑制することでウイルスの増殖を抑える。 

10年以上前に開発され動物実験などで、中東呼吸器症候群(MERS)ウイルスや、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスなどの複数のウイルスで不活化効果が認められている。 

5月に承認されたのは新型コロナウイルス感染症の重症患者向けの点滴静注液(水性注射液、注射用凍結乾燥製剤)で、体外式膜型人工肺(ECMO)、人工呼吸器、酸素吸入などが必要な患者が対象になる。