藤田医科大学(愛知県豊明市)は2021年第1四半期に、米国のエリクサジェン・セラピューティックス(メリーランド州)が開発を進めている新型コロナウイルス向けのRNAワクチン「EXG-5003」の第1/2相臨床試験を始める。 

EXG-5003は温度による制御が可能なため他のタイプのワクチンより安全で、投与量も節約できる可能性があるという。 

すでに日本医療研究開発機構による公募助成に採択されており、第1/2相臨床試験で安全性と免疫原性を確認し、最終段階である第3相臨床試験を目指す計画だ。 

ワクチン開発の最終段階にある英アストラゼネカが、深刻な副反応(副作用)が疑われる事例が発生したことを理由に臨床試験を一時中断するなど、ワクチンの安全性に対する意識が高まっているだけに、今後エリクサジェンの安全性の仕組みに関心が集まりそうだ。

注射部分だけで効果を発揮 

エリクサジェン・セラピューティックスは、米国のボルチモアに本社を置くバイオテクノロジー企業で、慶応義塾大学の洪実教授が米国NIH(国立衛生研究所)時代に発見した遺伝子を用いた細胞治療法による希少疾患の治療を目指している。 

東京大学をはじめとする大学発ベンチャー100社以上(うち11社が株式上場、11社がM&Aを実現)に投資を行っている、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC、東京都文京区)の投資先であり、UTECが資金や事業体制構築などの面で支援をしている。 

EXG-5003は、ウイルスの表面にあるたんぱく質(スパイクたんぱく)に結合するたんぱく質を作り出すことでウイルスを不活化するもので、通常の皮膚温度(33度C)では効果があるが、体の内部の高い体温(37度C)では効果がなくなるという特徴を持つ。 

このため、注射をした部分だけでワクチンが効果を発揮するため臓器などで副作用が発生する可能性が低く、さらに注射の部分を加熱してワクチンを不活化することができるなどの優位性もある。 

日本で優先的に開発、供給 

藤田医科大学病院はダイヤモンド・プリンセス号の乗客、乗員を岡崎医療センターで受け入れて以来、新型コロナウイルス感染症患者の診療に積極的に取り組んでおり、新型コロナウイルス治療薬候補であるアビガンの臨床研究などでも協力している。 

エリクサジェン・セラピューティックスはEXG-5003の最初の臨床試験を藤田医科大学で行うこともあり、日本での優先的なワクチン開発と供給の準備を進めているという。

文:M&A Online編集部