新型コロナの影響下、希望(早期)退職者の募集が増え続けている。8月中に募集計画を発表した上場企業は武田薬品工業、ワールド、河西工業など8社に上り、月別では5月と並ぶ今年最多となった。1月からの累計では42社(延べ45社)となり、前年(36社)をすでに大きく上回る。

新型コロナの影響、8社のうち6社

8月に希望退職者の募集計画を発表した8社中(一覧表を参照)、理由の一つに新型コロナウイルス感染拡大による業績悪化をあげた企業は武田薬品、デクセリアルズを除く6社。今年に入ってからの累計だと、少なくとも15社が該当し、全42社の3分の1以上を占める。とくに5月以降は13社と急増している。

ドア、トランク回りなど自動車用内装部品メーカーの河西工業は、新型コロナ感染拡大による業績見通しの悪化を受け、抜本的な事業構造改革に着手するのに合わせ、300人規模の希望退職者(契約社員を含む)を募る。募集人数は単体ベースの社員のおよそ4分の1にあたる。

得意先企業の減産で稼働率低下に見舞われている。2021年3月期は売上高26.2%減の1510億円、営業赤字108億円(前期は40億円の黒字)、最終赤字118億円(同20億円の赤字)と大幅な減収と赤字を見込む。

プリント配線板のシライ電子工業は米中貿易摩擦などで電子部品需要が減少しているところに、新型コロナの影響が重なり、受注環境がさらに厳しくなったとしている。

ワールド、計画を前倒し200人を募集へ

募集人数で河西工業に次ぐのがアパレル大手のワールド。女性・キッズ向けなどの5ブランドを廃止するとともに、不採算店を中心に358店舗を来春までに閉鎖するのに伴い、200人程度を募る。従来の中期経営計画で段階的な人員体制の見直しを予定していたが、新型コロナの影響で実施時期を大幅に前倒す。

同じくアパレル関連では、RIZAPグループ傘下の夢展望が15人程度の募集に踏み切る。

居酒屋「はなの舞」などを展開するチムニーは8月中に100人程度の募集をすでに終えた。4~6月期の売上高は前年同期比80%減となり、72店舗の閉鎖を決定。飲食業界向け求人サービスを主力とするクックビズは新型コロナで飲食店からの求人が激減し、業績立て直しに向けて退職者を募る。

武田薬品、「日本型雇用」脱却の一環

8社の中でやや異色なのは武田薬品。同社は医薬品開発をめぐる国際的な競争が激しさを増す中、組織力の向上を目的に終身雇用を柱とする日本型の雇用システムからの脱却を推し進めている。

その一環として今回、国内部門に従事する勤続3年以上(定年後再雇用者を含む)30歳以上の社員を対象に「フューチャー・キャリア・プログラム」と名づけた早期退職制度の導入を打ち出した。募集期間は9月28日~10月16日。ただ、その人数は非公表だ。

募集予定人数は約6700人に

今年1月から8月末までに発表があった希望退職者募集の総数は(予定人数を集計)は約6700人。人数未定や、武田のように人数が非公表のところもあることから、実際には8000人近いものとみられる。

◎2020年1~8月:希望退職者募集を発表した企業(HDはホールディングス)

8月 シライ電子工業 60人程度(9月7日~25日)
クックビズ 50人程度(8月17日~9月16日)
ワールド 約200人(9月14日~9月30日)
チムニー 100人程度(8月13日~26日)
武田薬品工業 人数は非公表(国内部門、9月28日~10月16日)
夢展望 15人程度(9月14日~10月2日)
デクセリアルズ 50人~100人程度(9月14日~11月30日)
河西工業 300人程度(9月7日~18日)
7月 ペッパーフードサービス 200人程度(7月6日~31日)→183人応募
ミツバ 500人程度(8月24~9月11日)
タツミ 30人程度(8月24日~9月11日)
日本ケミファ 30人程度(8月7日~8月28日)
三菱自動車 間接部門で実施予定
シチズン時計(2) 550人(子会社のシチズン時計マニュファクチャリング、10月14日~11月18日)
6月 レオパレス21 約1000人(6月22日~7月31日)→1067人応募
フレンドリー 110人程度(6月中旬以降一定期間)
三共生興 約30人(7月20日~31日)→28人応募
第一商品 100人(6月23日~7月10日)→140人応募
ダイヤモンドエレクトリックHD 150人程度(8月3日~26日)
ラオックス(2) 250人程度(7月1日~31日)→114人応募
5月 さいか屋 120人程度(6月下旬)→108人応募
ぱど(2)追加募集70人程度(5月28日~6月3日)→73人応募
ぱど(1)100人程度(5月14日~20日)→105人応募 
東京製綱 中国・常州工場が対象。5月に実施
オーミケンシ 全従業員を対象に勇退勧奨(10月末日退職)
リズム時計工業 8月に募集(人員規模は未定)
レナウン 300人程度(6月4日~11日)→約180人応募
タチエス 250人(7月20日~8月7日)→232人応募
岡本硝子 20人弱(6月1日~17日)→16人応募
4月  廣済堂 240人程度(6月15日~7月3日)→230人応募
3月 東海染工 20人程度(3月9日~16日)→14人応募
ユニバンス 200人程度(3月中~7月末)→130人応募
HANATOUR JAPAN 30人程度(3月24日~30日)→24人応募
日本ケミコン 100人程度(4月10日~30日)→157人応募
2月 芝浦機械(旧東芝機械) 200~300人規模(3月中旬~7月29日)→252人応募
シチズン時計(1)200人程度(子会社のシチズン電子など2社)
サッポロHD 定めず(5月1日~7月10日→51人応募、10月1日~12月10日)
ラオックス(1)160人程度(2月17日~3月6日)→111人応募
NISSHA 250人程度(4月28日~5月15日)→268人応募
三井E&S HD 200人(6月1日~15日、千葉工場での造船事業終了に伴う)
1月 ジオマテック 40人(2月3日~3月2日)
リョーサン 80人程度(2月3日~14日)→62人応募
曙ブレーキ工業 200人(2月24日~3月23日)→154人応募
片倉工業 100人程度(3月9日~19日)→138人応募
佐鳥電機 60人程度(3月16日~31日)→46人応募

文:M&A Online編集部