塩野義製薬<4507>は2020年10月1日に、医薬品事業を手がける子会社のシオノギファーマ(大阪府摂津市)を通じて、長瀬産業<8012>からナガセ医薬品(兵庫県伊丹市)の全株式を取得し子会社化する。 

シオノギファーマは医療用医薬品、治験薬などの製造、販売、分析、試験などのほか、医薬品製剤開発・製造支援(CDMO)事業を手がけており、一方のナガセ医薬品は抗がん剤、局所麻酔剤、胃炎・胃潰瘍治療剤などの製造のほか、外部顧客からの医薬品の製造受託にも取り組んでいる。 

シオノギファーマはナガセ医薬品を子会社化することで、CDMOビジネスを推進し、CDMO事業でリーディングカンパニーを目指すという。CDMOとはどのような事業なのか。 

CDMO事業は拡大基調

CDMO事業は医薬品の製剤開発や、製剤製造の支援を行うもので、近年、新薬開発に莫大な費用と長い時間がかかるようになってきたために、開発と製造を別の会社が行い、リスク軽減しようという流れから生まれた。 

製造の受託にとどまらず、薬効のある物質を製剤にするための研究や、製造方法の開発などについてもニーズがあるほか、バイオベンチャーや大学などで開発される新薬については、安全性や薬効を確認する臨床試験向け製剤の製造需要などもある。 

このところ製薬会社が生産工場を売却し研究開発に資源を振り向ける一方で、製造プロセスの開発や製剤の製造を他社に委託するケースが増えており、CDMO事業は拡大の傾向にある。 

こうした流れの中、ナガセ医薬品の買収に踏み切ったわけで、買収後、両社が保有する製造能力やノウハウを相互に活用するほか、ナガセ医薬品が持つGMP(医薬品の製造管理や品質管理に関する基準)に適合した注射剤製造ラインを生かして、高薬理注射製剤の製造を行う。 

ナガセ医薬品の買収金額や業績などは公表されていないが、民間の信用調査会社によるとナガセ医薬品の2018年3月期の売上高は約44億円だった。 

シオノギファーマは「世界で最も信頼されるCDMO事業者になることを目指している」としており、今回の買収後も引き続きM&Aの可能性はありそうだ。