定食チェーンの大戸屋ホールディングスへの外食大手、コロワイドによる敵対的TOB(株式公開買い付け)が9月8日に期限を再び迎える。コロワイドに今度こそ軍配が上がるのか、それとも再延長に突入するのか。大戸屋側の6割を占める個人株主の間にはコロワイドの力ずくの姿勢に反発が根強いとされ、勝負の行方はなお混とんとしている。

コロワイド、40%確保で実質支配を目指す

前回は期限当日の8月25日に、形勢不利とみたコロワイドがTOB成立条件を引き下げ、期日を10営業日延長した。コロワイドはもともと保有する19%の株式と合わせ、保有比率を45%(下限)~51%(上限)に高めることを目指していたが、下限を5%引き下げて40%~51%とした。

保有比率が過半に達していなくとも40%以上であれば、取締役派遣などを通じて実質的に支配することができれば、大戸屋を連結子会社として取り扱えるとの判断だ。

だが、この間、大戸屋株価は300円戻して、コロワイドによる買付価格3081円との開きが100円以内に縮小し、価格面でもコロワイド側が必ずしも優位とは言えない状況に変化した。4日の大戸屋株価の終値は3000円。2700円前後の時でさえ、予定通りに買い付けられなかったことを考えれば、TOB成立のハードルは逆に高まった格好だ。

大戸屋も手をこまぬいていたわけではない。8月半ば、野菜・食材宅配のオイシックス・ラ・大地との業務提携を発表。冷凍総菜の共同開発や大戸屋監修による弁当の宅配サービスなどに取り組む。

コロワイドがTOBを始めたのは7月10日。6月末の大戸屋株主総会では経営陣刷新を求めたコロワイドの株主提案が反対多数で否決されたのを受け、間髪入れず繰り出した。

大戸屋株の買付価格3081円はTOB発表前の株価に約46%のプレミアムを加えたもので、コロワイドが断然有利とみられていた。本来なら、多くの株主にとってTOBに応募した方が得なはずだ。しかし、実際にはそうならず、TOBに事実上「ノー」を突き付けた。コロワイドに誤算が生じた。

大戸屋、個人株主の支持が頼みの綱

大戸屋はコロワイドのTOBに一貫して反対の立場を貫いている。敵対的TOBに発展したことで、その動向がクローズアップされたのが6割に上る大戸屋の個人株主。「大戸屋ファン」といわれる株主の層が分厚いとされるからだ。

大戸屋は5月末に先手を打つ形で株主優待制度を大幅に拡充した。優待額は100株を保有する株主の場合、従来の5000円から7500円に増額、保有3年以上だと5500円から8500円に引き上げ、内容を手厚くした。

期限は週明けの2日間を残すだけ。TOBが成立もしくは不成立となれば、どちらかが勝利してゲームセットとなる。「再延長」に突入すれば、膠着状態がさらに続くことになり、「新型コロナ」下、業績への悪影響も懸念される。コロワイドには買付価格を引き上げるという手も残されているが、さてどうなる。

◎大戸屋とコロワイドの一連の経過

2019年10月コロワイド、大戸屋創業家から約19%の株式を取得して筆頭株主に
 11~12月コロワイドがM&Aの検討を打診、大戸屋は拒否
2020年4月コロワイド、大戸屋の経営陣刷新を求める株主提案を発表
6月大戸屋株主総会、コロワイドの株主提案を否決
7月コロワイドがTOB開始、大戸屋は反対を表明
8月14日、大戸屋、オイシックス・ラ・大地と業務提携を発表
25日、コロワイド、TOB成立条件引き下げと期間延長を発表

文:M&A Online編集部