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【日産自動車】三度の「業界再編」でEV覇権を狙うか

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「売り」だけでなく「買い」も

 日産は企業買収にも熱心だ。2016年9月にルノーと共同で自動運転やネットワークに接続するコネクテッドカー(つながる車)などのソフトウエア技術を開発する仏シルフェオを買収した。日産はIT分野で出遅れているといわれており、シルフェオ買収を皮切りに連携に力を入れる方針だ。

 しかし、ホンダ<7267>は同年12月、米グーグルの自動運転事業会社である米ウェイモとの協業に踏み込んだ。トヨタ自動車<7203>は17年7月に米国で子会社トヨタ・リサーチ・インスティテュート(TRI)を通じて、AIベンチャーに総額で1億ドル(約113億円)の投資をするファンドを設立すると発表している。差は開きこそすれ、決して縮まってはいない。日産がITで先行するライバル2社をキャッチアップするには、M&Aをさらに加速させる必要がある。

二度目の「業界再編」で初の世界一に

 日産は同じ自動車メーカーに出資する業界再編にも、再び力を入れ始めた。16年10月に三菱自動車<7211>株の34%を取得し、グループ企業に組み込んでいる。その結果、2017年上期(1~6月期)の世界新車販売台数で、ルノー・日産アライアンスがトヨタと独フォルクスワーゲン(VW)の2強を追い抜き、初めて首位に躍り出た。日産はルノーとの共同購買で調達コストの引き下げに成功しており、三菱自動車が加わったことでさらなるコストダウンが期待できそうだ。

 しかし、初の年間新車販売世界一には懸念材料も出てきた。国内6工場で無資格の従業員が出荷前の完成検査を行っていた問題で、2017年10月以降の「国内販売はかなりダメージを受けている」(星野朝子専務執行役員)からだ。VWやトヨタとの販売台数の差はわずかで、通年の世界一になるかどうかは微妙になってきた。現在、国内工場の生産台数は2〜6割も減少しており、山内康裕チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)は「完成検査員を増やすなどの対策を実施し、生産が不正発覚前の水準に戻るには今年末から今年度いっぱいかかる」とみている。

2017年上半期(1〜6月)自動車世界販売ベスト3
順位 グループ名 世界販売台数 1位との差
1位 仏ルノー・日産・三菱自連合 5,268,079
2位 独VWグループ 5,155,600 112,479
3位 トヨタグループ 5,129,000 139,079

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完成車の不正検査が発覚した日産自動車。9月18日に国土交通省から指摘を受けた後も無資格の従業員が検査に関わっていた。10月19日、国内6工場の出荷停止を発表したが、コンプライアンス意識の希薄さは否定できない。不祥事の影響は日産にとどまらず日産の取引先、下請企業にも波及している。

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