海外に照準を定めた空調機トップメーカーのM&A戦略

 ダイキン工業<6367>は『うるるとさらら』という家庭用エアコンでなじみのある会社だが、実は産業用空調機分野で世界トップシェアを誇る。売上高はわずか15年で5,000億円から4倍の2兆円へと飛躍的な成長を遂げた。その成長の背景にあるのは、海外に目を向けた積極的なM&Aによる事業展開だ。現在はダイキン工業の売上高の9割が海外からとなっている。

【企業概要】空調機と冷媒ガスを自社開発・生産できる世界唯一のメーカー

 ダイキン工業は1924年、実業家・山田晁氏により、合弁会社大阪金属工業所として創業した。飛行機のラジエターチューブに始まり、1950年まではフッ素系冷媒やフロン冷媒を使用した冷凍機などを製造していた。1951年に日本初のパッケージ形エアコンの開発に成功。1963年には、社名を大阪金属工業所からダイキン工業に変更した。

 現在の事業内容は、「空調事業」を主軸に、「化学事業」「フィルター事業」「油機事業」「特機事業」「電子システム事業」の6つの事業を展開している。空調メーカーでの売上規模は世界第3位。特に空調機と冷媒ガスの両方を自社開発・生産できる世界唯一のメーカーという強みを生かし、世界の空調業界をリードしている。

●世界の空調メーカーでは第3位

順位 企業名 売上高(百万円) 当期純利益 売上高増加率 EBITDA
1 ユナイテッド テクノロジーズ(米) 6,226,804 549,865 2.00% 10.9 倍
2 ジョンソンコントロールズ(米・非上場) 4,120,760 -94,675 -0.80% 18.9 倍
3 ダイキン工業 2,043,691 136,986 6.70% 11.5 倍

SPEEDAを基にM&A Online編集部作成

【役員陣】現社長・十河政則氏は前社長の社長秘書だった

 代表取締役社長の十河政則氏は1973年にダイキン工業に入社し、秘書室長、取締役専務執行役員、社長兼最高執行責任者(COO)などを経て2014年から社長に就任。工場や営業など事業部門の経験はほとんどなく、人事、総務、社長秘書など管理部門を長く担当してきた。

●ダイキン工業の取締役

役職名氏  名担当または主な職業
取締役会長 兼 グローバルグループ代表執行役員井上 礼之 
代表取締役社長 兼 CEO十河 政則内部統制委員会 委員長
社外取締役寺田 千代乃アートコーポレーション株式会社 代表取締役社長
社外取締役川田 達男セーレン株式会社 代表取締役会長 兼 最高経営責任者
社外取締役牧野 明次岩谷産業株式会社 代表取締役会長 兼 CEO 執行役員

2016年3月末時点、同社ホームページより作成

【株主構成】同族色はなく、金融機関がトップ10を占める

 ダイキン工業の創業家はすでに主要株主から外れており、金融機関がトップ10を占めている。事業会社としては、2012年まではパナソニックが2.56%の株式を保有していたものの、2013年以降は大株主から姿を消している。

●ダイキン工業の株主構成

氏名または名称 所有株式数  (千株) 持ち株比率 (%)
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 24,185 8.25%
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 19,609 6.69%
三井住友銀行 9,000 3.07%
ニホントラスティ・サービス信託銀行 (三井住友信託銀行再信託分・新日鐵住金 退職給付信託口) 6,477 2.21%
ニホントラスティ・サービス信託銀行 (三井住友信託銀行再信託分・農林中央金庫退職給付信託口) 4,999 1.71%
三菱東京UFJ銀行 4,900 1.67%
ザバンクオブニューヨークメロンエスエーエヌブイ10 4,805 1.64%
日本トラスティ・サービス信託銀行 (信託口4) 4,493 1.53%
資産管理サービス信託銀行 (証券投資信託口) 3,859 1.32%
住友生命保険相互会社(常任代理人 日本トラスティ・サービス信託銀行) 3,595 1.23%
85,922 29.32%

2016年3月末時点、有価証券報告書に基づき作成