東京証券取引所の「適時開示」ベースで、2018年11月の買収件数は59件と前月を10件下回った。ダイキン工業がオーストリアの冷凍・冷蔵ショーケース大手AHTを1145億円で子会社化するのが最大案件で、これを含めて日本企業による海外企業の買収は8件だった。一方、売却件数は15件と9月(18件)に次ぐ今年2番目の高水準だった。

また、1~11月までで買収と売却を合わせたM&Aの総開示件数(買収側と売却側の双方が開示したケースは買収側でカウント)は1~11月で704件となり、このままのペースでいけば、2018年全体として前年(約750件)と上回る公算が大きい。

不二製油、業務用チョコレート世界3位の米ブロマーを子会社化

東証の適時開示は上場企業に義務づけられた「重要な会社情報の開示」のこと。各種の開示情報の中から経営権の異動を伴う買収案件(子会社化・事業取得。ただしグループ内再編を除く)について、M&A Online編集部が集計した。

11月開示された買収59件中、金額10億円を超える案件は13件(表を参照)。1000億円超の案件は1件。ダイキン工業は欧州子会社を通じて、AHTの全株式を英投資ファンドから1145億円で取得すると発表した。AHTはスーパーマーケットを対象とする冷凍・冷蔵ショーケースの専業で、冷凍ユニットが内蔵されたタイプで欧州トップ。直近売上高は625億円。

不二製油グループ本社が買収する米ブロマー・チョコレート(シカゴ、売上高約1000億円)は業務用チョコレートの世界3位。不二製油はこれまでブラジル、マレーシア、豪州でチョコレート会社を相次ぎ買収しており、今回、いよいよ北米に足がかりを築く。ブロマーを傘下に収めることにより、同社の業務用チョコの総販売量は40万トンとなり、スイスのバリー・カレボー(約150万トン)、米カーギル(約65万トン)を追撃する。買収金額は最終的に確定していないが、600億円超となる見通し。

農薬メーカーのOATアグリオはオランダのクリザールを78億円で買収することを発表した。クリザールは収穫後の切り花や切り枝を長持ちさせる鮮度保持剤の世界トップ企業で、50カ国に販売網を持つ。OATアグリオは自社の鮮度保持剤「美咲」の世界展開を目指す。

中堅製造業でTOB活発に

11月は中堅の上場製造業を対象とするTOB株式公開買い付け)案件が目立った。

電子機器部品メーカーのミネベアミツミは同業のユーシンに対し、完全子会社化を目的にTOBを実施する。配電盤メーカーの日東工業は電子機器部品の北川工業をTOBなどで傘下に収める。いずれも買収金額は300億円前後にのぼる。また、投資会社のアスパラントグループは、金属メッキ加工のFCMを完全子会社化するため総額60億円のTOBを発表した。

11月公表:買収金額上位の案件(10億円超)
1ダイキン工業、オーストリアの冷凍・冷蔵ショーケース大手のAHTを子会社化(1145億円)
2不二製油グループ本社、業務用チョコレート世界3位の米ブロマーを子会社化(600億円超)
3ミネベアミツミ、電子機器部品のユーシンをTOBで子会社化(326億円)
4日東工業、電子機器部品の北川工業をTOBで子会社化(281億円)
5OATアグリオ、オランダの鮮度保持剤大手クリザールを子会社化(78.8億円)
6アスパラントグループ、伸線加工のFCMをTOBで子会社化(60.6億円)
7チェンジ、ふるさと納税サイト運営のトラストバンクを子会社化(48億円)
8八越、一六堂をMBOで子会社化(34.8億円)
9アルコニックス、ブレーキ摩擦材の東北化工を子会社化(26.3億円)
10綿半ホールディングス、家電・パソコン通販のアベルネットを子会社化(20.6億円)
11ユニカフェ、コーヒー豆焙煎のアートコーヒーを子会社化(15億円)
12アドベンチャー、衣料雑貨販売のギャラリーレアを子会社化(11.5億円)
13ウイン・パートナーズ、医療機器販売のエムシーアイを子会社化(10億円)