東京証券取引所の「適時開示」ベースで、2018年10月の買収件数は69件と前月を12件上回り、8月(72件)に次ぐ今年2番目の高水準だった。このうち日本企業による海外企業買収は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ信託銀行が豪資産運用会社を3280億円で買収したのをはじめ17件。一方、海外企業による買収は化粧品ブランド「ドクターシーラボ」を展開するシーズ・ホールディングス、車載情報機器のクラリオンを対象に2つの大型案件があった。

三菱UFJ信託の豪CFSGAM買収は3280億円、今年5位にランク

東証の適時開示は上場企業に義務づけられた「重要な会社情報の開示」のこと。各種の開示情報の中から経営権の異動を伴う買収案件(子会社化・事業取得。ただしグループ内再編を除く)についてM&A Online編集部が集計した。

10月に公表された買収69件中、金額10億円を超える案件は12件(表を参照)。最大案件となったのは三菱UFJ信託銀行。豪最大手金融グループのコモンウェルス銀行傘下の主要資産運用会社9社(総称CFSGAM)の全株式を取得する。2019年半ばまでに買収を完了させる。CFSGAMの資産運用残高は約17兆円で、日本を除くアジアで運用残高第3位の大手。買収金額は40億豪ドル(約3280億円)に上る大型案件で、適時開示ベースで今年の5位にランクされる。

「ドクターシーラボ」のシーズHDとクラリオンは海外企業の傘下へ

金額1000億円超はほかに2件あるが、いずれも海外企業による日本企業へのTOB案件。米ヘルスケア製品メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は、「ドクターシーラボ」で知られるシーズ・ホールディングス(東証1部)を、TOB株式公開買い付け)などを通じて買収する。TOBで株式の過半を取得したうえで、創業者らが持つ株式を譲り受け、完全子会社化を目指す。買収金額は約2300億円。

また、フランスの自動車部品大手フォルシアは日立傘下のクラリオン(東証1部)にTOBを実施し完全子会社化する。買収金額は1409億円。日立は保有するクラリオン株式(63.80%)のすべてを約900億円で売却する。クラリオンはカーナビなど車載情報機器が主力。2006年に日立の連結子会社となったが、競争激化で苦戦が続いていた。

10月:買収金額10億円超の案件
1 三菱UFJ信託銀行、豪資産運用会社CFSGAMを買収(3280億円)
2 ジョンソン・エンド・ジョンソン、化粧品ブランド「ドクターシーラボ」展開のシーズ・ホールディングスをTOBで子会社化(約2300億円)
3 仏フォルシア、クラリオンをTOBで子会社化(1409億円)
4 ゼンショーホールディングス、持ち帰り寿司チェーンの米Advanced Fresh Conceptsを子会社化(289億円)
5 ドンキホーテホールディングス、ユニーを子会社化(282億円)
6 ホッカンホールディングス、インドネシアのDELTAPACKから飲料用パッケージ製造事業を取得(95億円)
7 アルファ、仏の自動車部品塗装ALT SASを子会社化(30.6億円)
8 アヲハタ、「アヲハタ」の商標権を中島董商店から取得(21億円)
9 GA technologies、不動産仲介システム開発のイタンジを子会社化(18.5億円)
10 イオンディライト、インドネシア清掃事業大手のSinar Jernih Saranaを子会社化(15.9億円)
11 TSIホールディングス、アパレルブランド販売の上野商会を子会社化(15億円)
12 サイバーエージェント、FC町田ゼルビアを運営するゼルビアを子会社化(11.5億円)
適時開示:カルソニックカンセイ、イタリアの自動車部品メーカーのマニエッティ・マレリを買収(約8060億円)