今年1月1日に開かれた第96回天皇杯全日本サッカー選手権大会決勝で鹿島アントラーズに破れ、悲願の初タイトルを逃した川崎フロンターレ。その株主に名を連ねる富士通<6702>は国内最大手のシステムインテグレーターである。富士通は技術革新に合わせてM&Aも活用し、様々な事業に進出してきた。過去には海外企業買収で巨額損失を抱えたが、虎の子の優良子会社売却でなんとか体力を温存。技術力を磨いて再び世界に挑戦しようとしている。

【企業概要】富士電機の電話部門が設立母体に

 富士通は、富士電機製造株式会社(現・富士電機株式会社)から電話部所管業務(交換、伝送)を分離し設立された。元々、富士電機製造株式会社自体は川崎市でもかなり海沿いにあり、海の近くでは、湿気、さびの問題で、通信事業が難しいことや東京電機(後の東芝)との業務提携契約に起因し少し内陸の川崎市中原区に会社を新設した。

 以来、有線電話、無線、自動計算器、汎用機(企業向けの基幹PC)、コンピュータ、携帯電話、と、いわゆるシステムインテグレーターとして、常に時代の技術革新と共に歩み、また国内の最大手として、業界をリードし続けている。

 その生い立ちから、富士電機グループとして存在していたものの、富士電機が業績の悪化などの理由から徐々に株式売却を行い、1965年に保有率が50%を切り、グループ会社から事実上の独立を果たした。

 一方で、現在に至るまで筆頭株主は常に富士電機の為、関係性が途切れた、というわけではない。

 現在、富士通は国内関係会社97社、海外関係会社217社でグループ構成している。国内のみ取り上げたが、関係性は以下の通り。

富士通の主な国内関係会社

関係 コード 会社名 株式保有比率(%) 売上高(百万円) 事業内容
連結子会社 - 富士通セミコンダクター 100 219,024 LSIの設計・開発・製造・販売
連結子会社 - 富士通テン 55 213,536 カーナビ,AV機器等の製造・販売
連結子会社 6967 新光電気工業 50.06 133,898 半導体パッケージの製造・販売
連結子会社 - 富士通周辺機 100 104,580 コンピュータ周辺機器の開発・製造
連結子会社 6945 富士通フロンテック 53.61 88,882 ATM,各種端末装置の製造・販売
連結子会社 3828 ニフティ 66.59 60,669 インターネット接続サービスの提供他
連結子会社 6955 FDK 72.58 49,044 電子材料,電子応用製品の製造・販売
連結子会社 6719 富士通コンポーネント 56.96 38,496 電子部品の製造・販売(持株会社
連結子会社 4793 富士通ビー・エス・シー 56.45 31,264 ソフトウエアの開発・販売他
連結子会社 - 富士通九州ネットワークテクノロジーズ 100 16,078 ネットワークシステム機器等の開発他
連結子会社 - 富士通CIT 100 12,883 SCMシステムの開発・運用・保守
連結子会社 - 富士通総研 100 6,807 経済・経営等に関わる調査・研究他
連結子会社 - 富士通鹿児島インフォネット 65 5,807 ソフトウエアの開発他
連結子会社 - 富士通パブリックソリューションズ 100 4,637 ソフトウエアの開発・販売
連結子会社 - 富士通システムズウェブテクノロジー 100 2,422 Webシステムの開発他
連結子会社 - 富士通マーケティング・エージェント 100 1,452 IT教育の運営,人材派遣サービス他
持分法適用会社 6755 富士通ゼネラル 44.26 223,666 電気・電子機械等の製造・販売

 富士通はこの業界地位を、買収、合弁会社設立、持株の売却など様々なM&Aを積極的活用し、確立してきたと評価することができる。また、自社部門が独立したファナックや富士通テンなどの上場も、大きな資金調達の要因となったことに相違ない。

 富士通は現状、3つのセグメントで成り立っている。それぞれ、テクノロジーソリューション、ユビキタスソリューション、デバイスソリューションという枠組みになっており、現状の売上比率は以下のとおりである。

 メインのテクノロジーソリューションは、企業・官公庁向けのシステムインテグレーションなど、ユビキタスソリューションはPCやスマートフォン向けの製造販売、デバイスソリューションは、LSIや電子部品等を取り扱っている。

 なお連結子会社のニフティについては、2017年4月1日付でニフティが持つインターネット接続サービスなどのコンシューマ向け事業会社とクラウドを中心とするエンタープライズ事業会社向け事業会社に再編し、コンシューマ向け事業会社の全株式を家電量販店のノジマに譲渡することを決定している。

【経営陣】田中社長、2015年に就任

 現在の田中達也社長は1980年に富士通入社。2015年6月に現会長の山本正巳氏からバトンタッチで社長に就任した。60歳。山本氏と田中氏が代表取締役となっている。

【株主構成】富士電機が11%を所有

富士通の主要株主

株主名称 保有株式数(千株) 持ち株比率(%)
富士電機 228,391 11.03
日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口) 93,628 4.52
日本マスタートラスト信託銀行(信託口) 77,763 3.76
富士通従業員持株会 58,221 2.81
みずほ銀行 36,963 1.79
朝日生命保険相互会社 35,180 1.70
The Bank of New York Mellon SA/NV 10 32,993 1.59
ステートストリートバンクアンドトラストカンパニー505225 32,111 1.55
CBNY GOVERNMENT OF NORWAY 29,594 1.43
STATE STREET BANK WEST CLIENT TREATY 505234 26,862 1.30
合計 651,706 31.48

・2016年9月末時点、四半期報告書に基づき作成
・富士電機が今も11%を持つ筆頭株主である。ほかは信託銀行など株主が分散している。