村田製作所<6981>がM&Aを積極的に活用し、次世代技術の覇権を狙う。1台のスマートフォン(以下、スマホ)に400~800個搭載される積層セラミックコンデンサで世界シェア約4割を持つ同社の電子部品に関する技術力は他社を圧倒している。一方、売上の大半をスマホ向けコンデンサが占めており、今後、M&Aにより自動車や医療、エネルギー分野への展開を図る。

【企業概要】売上の約8割が世界シェア1位の製品

 村田製作所はスマホから家電、自動車関連のアプリケーション、エネルギー管理システムやヘルスケア機器といった様々な製品の電子部品、多機能・高密度なモジュール等の設計・製造を行っている会社である。特に主力製品であるセラミックスコンデンサをはじめとする電子部品分野では世界的にも圧倒的なシェアを誇る。

 同社は1944年、京都府京都市で村田昭氏によって設立された。創業間もない戦後の混乱期、ラジオは唯一の娯楽であり情報源であった。それまでの超再生方式に比べて格段に高性能だったスーパーヘテロダインラジオは急速に普及し、そのラジオの温度補償用に広く使われたのが同社の円筒形の磁器コンデンサであり、同製品は飛ぶように売れた。(出所:村田製作所HP「沿革」より)

 それ以来、現在に至るまで、電子部品の小型高性能化が求められる多くの製品において、同社の製品は広く採用されている。例えば、スマホやタブレット端末等の世界的な普及は、多くの端末に採用されている同社のコンデンサの小型高性能化の貢献が大きい。このように、同社の製品は、日常生活に欠かせない電子機器の発展に大きな役割を担っていると言える。

 村田昭氏が重んじてきた「独自性」へのこだわりは、これまで多くの世界初・世界一の電子部品を世の中に送り出し社会の発展へも貢献してきた。こうした「独自性」へのこだわりにより、同社の2016年3月期売上高約1兆2千億円の約80%は世界トップシェアの製品群によって占められ、総合電子部品メーカーとして世界をリードする存在となっている。

【経営陣】一代で世界の村田製作所に

 村田製作所は村田昭氏により一代で世界の電子部品分野をリードする企業にまで育て上げられた。1991年に長男の村田泰隆氏が二代目社長に就任。当時、既に同社のセラミックコンデンサは世界を席巻していた。2006年に村田昭氏が亡くなり、翌年には現社長で三男の村田恒夫氏(65)が三代目社長に就任した。2016年現在、村田恒夫氏は社長として健在だが、村田製作所の取締役および執行役員に村田家出身者はおらず、同族経営は3代で終わる可能性が高いと思われる。

【株主構成】ノルウェー政府年金基金も投資

村田製作所の主要株主
氏名または名称 所有株式数(千株) 持ち株比率(%)
JPモルガンチェース 15,526 6.9%
日本トラスティ・サービス信託銀行 12,082 5.4%
日本生命保険 7,361 3.3%
日本マスタートラスト信託銀行 6,801 3.0%
ステートストリート信託銀行 6,710 3.0%
京都銀行 5,260 2.3%
明治安田生命保険 5,240 2.3%
滋賀銀行 3,551 1.6%
ノルウェー政府年金基金 3,350 1.5%
ステートストリートバンクウェストクライアントトリ―ティー 3,014 1.3%
68,895 30.6%
2016年3月末時点、有価証券報告書に基づき作成

 2016年3月末時点の株主構成を見ると、1位JPモルガン・チェース・バンク(6.9%)、2位日本トラスティ・サービス信託銀行(5.4%)、3位日本生命保険(3.3%)、4位日本マスタートラスト信託銀行(3.0%)、5位ステートストリートバンク&カンパニー(3.0%)と上位5位までで21.6%と分散している。特に、日本トラスティ・サービス信託銀行と、4位日本マスタートラスト信託銀行は外国人投資家からの投資分も含まれていると思われ、1位のJPモルガンや9位のノルウェー政府年金基金等、外国人投資家が多く保有していることが分かる。全体での外国人投資家の保有比率は40%強と同社がグローバル企業であり、優良企業として外国人投資家からも注目されていることが伺える。