データ分析と決済サービスを運営するメタップス<6172>が2015年に新規株式公開(IPO)して以降、M&Aを立て続けに行い、事業を急拡大させている。あらゆるものがネットにつながり、ビッグデータの収集が可能となるなかで、データによる新たな経済圏の構築を掲げ、人工知能(AI)やフィンテックに集中投資する姿勢を鮮明にしている。まだ上場して間もないベンチャー企業の大胆な投資戦略を読み解きたい。
メタップスは、「世界の頭脳になる」というミッションを掲げてアプリ収益化事業を行っており、マーケティング(分析、広告、販促等)、及びファイナンス(決済、投資、融資等)の2つの領域において事業展開している。
マーケティング領域では、アプリの集客や分析、収益化をワンストップで支援するアプリ開発者向けプラットフォーム「metaps」が主軸であり、アプリ運営に必要なKPI及びデータを一元管理し、またAI(人工知能)を活用して適切なターゲットに対して適切な広告配信を行うことで、収益を最大化することを支援している。
ファイナンス領域では、オンライン決済サービス「SPIKE」をはじめ、リアル店舗におけるクレジットカード決済サービスの提供、不動産業界における家賃決済等、法人から個人まで幅広い利用者を対象にサービスを提供している。
2007年9月に設立され、2015年8月に東証マザーズに株式を上場しており、日本、シンガポール、香港、台湾、韓国、中国、米国、英国の8拠点を中心としてグローバルに事業展開している。
佐藤航陽社長は2006年に早稲田大学に入学後、20歳にして2007年9月にイーファクター株式会社(現・メタップス)を設立し、代表取締役に就任。30歳。和田洋一取締役会長は野村証券出身で、スクウェア・エニックス・ホールディングスの社長を務めた後、2015年からメタップス取締役に就任した。また小泉内閣で経済財政担当大臣などを歴任した経済学者の竹中平蔵氏を顧問に迎えている。
【株主構成】佐藤社長、3分の1超を保有
メタップスの上位株主 | ||
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氏名又は名称 | 所有株式数(株) | 持ち株比率(%) |
佐藤航陽 | 4,430,000 | 34.40 |
インテック・アイティ2号投資事業有限責任組合 | 632,082 | 4.91 |
セガゲームス | 500,000 | 3.88 |
BBH (LUX) FOR FIL LIMITED MARCONI PILOT | 384,853 | 2.99 |
山崎祐一郎 | 346,000 | 2.69 |
Fenox Venture Company 7, L.P. | 300,000 | 2.33 |
資産管理サービス信託銀行 | 251,800 | 1.96 |
トランス・コスモス | 250,000 | 1.94 |
博報堂 | 250,000 | 1.94 |
松井秀紀 | 200,000 | 1.55 |
計 | 7,544,735 | 58.59 |
2016年8月末時点、有価証券報告書に基づき作成 |
上場後も佐藤社長が3分の1超を保有し筆頭株主となっている。その他大株主としては、業務提携をしているセガゲームスやトランス・コスモス、博報堂とともに、一部のベンチャーキャピタルが上場から1年経過しても継続保有している。