新生銀行TOBにSBIが主張する「株価引き上げ」効果はあるか

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(Photo By Reuters)

SBI傘下に入れば本当に株価は上がるのか?

SBIの北尾吉孝社長は「地銀の株価は安すぎる。わが社と組めばもっと値上がりする」と地方銀行に資本提携を働きかけ、現在は島根銀行、福島銀行、筑邦銀行、清水銀行、大東銀行、東和銀行、きらやか銀行(山形市)と仙台銀行(仙台市)を傘下に置く じもとホールディングスに出資している。

SBIが資本提携している7社の、この半年間の株価を見てみよう。北尾社長の発言通り、株価は上昇しているのだろうか?実はこの半年間で株価が上昇しているのは2社、下落しているのは5社となった。株価が最も値上がりしたのは大東銀行で、半年間に4.6%値上がりしている。反対に最も値下がりしたのは東和銀行の-17.2%だった。

ただ、同期間は日経平均株価も7.3%値下がりしている。それを加味すると、日経平均よりも下落幅が小さかったのは3社、大きかったのは4社だった。7社平均では7.5%の値下がりで、日経平均を0.2ポイント下回っている。株価だけを見れば、SBIとの資本提携には目立った「株価引き上げ」効果はなかったようだ。

半年間の株価の推移
社名 4月6日 10月6日 変動率 日経平均との差 出資比率
島根銀行 688 582 -15.4% -8.1% 28.73%
大東銀行 674 705 4.6% 11.9% 18.33%
じもとホールディングス 775 670 -13.5% -6.2% 18.19%
福島銀行 250 259 3.6% 10.9% 17.86%
筑邦銀行 1785 1620 -9.2% -1.9% 2.98%
清水銀行 1677 1587 -5.4% 1.9% 2.46%
東和銀行 661 547 -17.2% -9.9% 最大で1%
7社平均 -7.5% -0.2%

もっとも資本提携している7社の出資比率は、最大でも島根銀行の28.73%に過ぎない。全てマイノリティー出資で、経営への影響力は小さい。SBIは新生銀行を連結子会社化する方針で、TOB成立後は経営を完全にコントロールする見通しだ。

そうなると経営に深く関わるSBIが、どこまで新生銀行の株価を引き上げることができるかがカギになる。ただ悩ましいのは株主が「SBI傘下で新生銀行の株価が上がる」と確信すれば、現在のTOBへの応募を見送る可能性が高いこと。一方、TOB後の株価引き上げは難しいと判断されれば、新生銀行の経営陣のみならず国もTOBに難色を示すだろう。いずれにせよSBIは難しい舵取りを迫られそうだ。

文:M&A Online編集部

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