パナソニック<6752>は音声や画像の処理技術を持つ子会社のPUX(大阪市)株式の20.8%を、手ぶれ補正などのスマートフォン用の画像処理ソフトなどを手がけるモルフォ<3653>に譲渡した。 

PUXはパナソニックの社内ベンチャー支援制度で2012年に設立された企業で、ドライバーのよそ見や居眠りなどを検知するドライバーモニタリングシステムなどを手がけており、モルフォはこの技術を商材として活用することで自動運転などの車載ビジネスへの参入を目指すという。 

パナソニックは今回の株式売却で保有割合が50.8%から30.0%に下がる。PUXのもう1社の大株主である任天堂<7974>の保有割合27.0%は上回るものの支配権をなくすことになる。パナソニック、任天堂、モルフォの3社による運営は、PUXをどこに導くのだろうか。 

車載ビジネスに参入 

PUXのドライバーモニタリングシステムは、カメラの画像からドライバーの頭部の位置や顔の向き、視線、まぶたの開閉度、眠気などを検出することで、よそ見や、居眠り、姿勢崩れなどを判定できる。

2018年から国内外の大手自動車部品メーカーなどに納入が始まっており、 PUX の2019年3月期の売上高は7億2000万円、営業利益は6300万円、当期純利益は3700万円だった。 

モルフォはドライバーモニタリングシステムによる車載ビジネスへの参入のほか、両社の技術者の連携を強化し、画像処理技術やAI(人工知能)を用いた画像認識技術の組み込みソフトなどに関して互いの技術の向上や業容拡大に取り組むという。 

売上高が8兆円を超えるパナソニックにとってPUXの保有割合の低下が業績に与える影響は皆無に等しい。だが、社会を大きく変える可能性のある自動運転につながる技術については関心を持っていないはずはなく、画像処理技術の研究開発に長けたモルフォと連携することで、PUXの技術のレベルが高まり、より大きく成長できると判断したものと思われる。 

あえて非子会社化を選択したパナソニックは、PUXが持ち帰ってくるであろう果実を気長に待つ覚悟のようだ。

文:M&A Online編集部