富士フイルムホールディングス<4901>による米ゼロックス・ホールディングスの買収が「破談」に終わった。米ゼロックスの大株主である投資家のカール・アイカーン氏が「ゼロックスをきわめて過小評価している」と合併に反対。アイカーン氏は2018年5月に「現金でゼロックス株1株当たり40ドル(約4360円)以上であれば、買収提案を検討する」と表明した。

米ゼロックスはM&Aに「生き残り」を賭ける

当時、ゼロックスの株価は28.46ドル(約3100円)程度だったので、40.5%のプレミアムを要求したわけだ。「富士ゼロックス株をゼロックス社に売却し、その資金で米ゼロックスに50.1%出資する」としていた富士フイルムはこれに応じず、交渉は平行線のまま長期化。結局、両社合弁の富士ゼロックスの米ゼロックス側持分の25%を富士フイルムが買い取り、同社を完全子会社化することで合意した。

合併が破談となったのを好感してゼロックス株は公表当日の2019年11月5日11時30分に36.71ドル(約4000円)と、前日午前10時の33.43ドル(約3640円)から9.8%も値上がりした。しかし、ゼロックス合併の契機となったペーパーレス化によるコピー機の需要減少の問題が消えたわけではない。

現在のパソコンを先取りした「Xerox Alto」はじめ新分野で成功する技術はあったものの、
それらを活かしきれなかった米ゼロックス(Photo by Erik Pitti)

ゼロックスの2018年12月期の売上高は、前期比4%減の98億ドル(約1兆700億円)と32年ぶりに100億ドル(1兆900億円)を下回り、ピークだった2011年12月期の半分以下になっている。年間12億5000万ドル(約1360億円)と試算されていた規模拡大によるコストダウンや研究開発の効率化といった「合併効果」の可能性が消えた今、それに替わる「処方箋」が必要だ。

ゼロックスは富士ゼロックスの売却益23億ドル(約2500億円)のうち5億5000万ドル(約600億円)を負債返済に充てるが、残る17億5000万ドル(約1900億円)の大半をM&Aに投入して新規ビジネスの展開を急ぐ。パソコン世界2位でプリンターなどオフィス機器大手・米HPの買収に乗り出すとも伝えられている。