使い捨てカイロ国内大手の桐灰化学(大阪市淀川区)が、親会社の小林製薬<4967>吸収合併され、104年にわたる歴史の幕を閉じることになった。百年企業だった桐灰化学の息の根を止めたのは、「地球温暖化」だった。

日本でも始まった温暖化による「企業消滅」

2019年1月に米カリフォルニア州の電力大手PG&Eが、異常乾燥で発生した大規模な山火事により経営が悪化。連邦破産法11条の適用を裁判所に申請したのが「世界初の地球温暖化による経営破綻」とされる。日本でもスキー場などの廃業は相次いでいるが、地球温暖化よりもスキー人口の減少による影響が大きい。国内で公式に地球温暖化を理由とした会社の消滅は、桐灰化学が初めてとみられる。今後も温暖化による企業の倒産や救済合併が増加する可能性が高い。

桐灰化学は1915(大正4)年に広島市で、創業者の植木康之氏が半練製カイロ灰を製造する「植木カイロ灰製造所」として創業。1928年に大阪市東淀川区に三国工場を設置して以降、同区内に工場を建設し、大阪を拠点に事業を拡大した。

同社の転機は1989年の「はるカイロ」の発売。使い捨てカイロの片側を粘着面に加工し、衣服の上から貼るというアイデアが大ヒットし、使い捨てカイロ市場をリードする存在となる。1997年には群馬県藤岡市に藤岡工場を開設し、東日本での生産にも乗り出す。

ところが消耗品である使い捨てカイロはスーパーやドラッグストアなどで「安売り」の目玉となり、市場競争が激化。2001年に小林製薬の100%子会社になる。その後は2006年に米Heat Max, Inc.を、2012 年には米Grabber, Inc.を、それぞれ子会社化するカイロ事業の海外展開などで、温熱製品は小林製薬グループの主力製品の一つに育った。

しかし「地球温暖化に伴う暖冬傾向が想定され、市場も競争激化の流れにある中で、カイロを中心とした温熱製品のさらなる成長のためには開発・販売体制を抜本的に見直す必要がある」(小林製薬)として、 2020年7月1日に吸収合併の上、桐灰化学を解散する。

今後は小林製薬の営業力を活かして使い捨てカイロの国内販売力を強化するとともに、桐灰化学の温熱技術をより効果的に活用した新製品開発を加速するという。地球温暖化で気温は上昇しているが、冬向けのシーズンビジネスを展開する企業にとっては背筋も凍る「超氷河期」を迎えたようだ。

文:M&A Online編集部