山中伸弥教授らがiPS(人工多能性幹細胞)細胞でノーベル賞を受賞したのを機に、京都大学では再生医療分野のベンチャーが続々と誕生している。中でも設立2年目のシードベンチャー(事業を立ち上げる準備段階)であるaceRNA Technologies(アセルナテクノロジーズ)の動向には多くの関心が集まる。

同社はmiRNA(マイクロRNA)の新規機能の発見を通じて再生医療と新薬創出に貢献することを企業理念としており、設立後わずか1年ほどの2019年6月にはRNAスイッチ技術を活用した細胞選別試薬の販売を始めた。 

アセルナテクノロジーズとはどのような企業なのか。RNAスイッチとはどのような機能を持つのか。

研究現場の生産性向上に大きく寄与

アセルナテクノロジーズは2018年4月に京都大学医学部キャンパスに隣接しているイノベーションハブ京都内に設立。京都大学iPS細胞研究所の副所長である齊藤博英教授らが発明したRNAスイッチを基盤の技術としている。

代表取締役の進照夫氏は旧藤沢薬品工業や新日本科学で、たんぱく質医薬品や中枢領域の薬理評価などを経験した人物。技術発明者として京都大学iPS細胞研究所の齊藤博英教授、技術顧問として藤田祥彦助教授が同社に参画している。  

RNAスイッチは細胞内に存在し、生命現象の様々な作用機序を制御すると言われているマイクロRNAを検知して、細胞の遺伝子発現を制御することができる。

再生医療分野ではiPS細胞から心筋細胞など種々の細胞を分化誘導するが、がん化を引き起こす未分化細胞を除去することが重要になってくる。そこで同社はこの課題を解決する方法としてRNAスイッチに目をつけた。

iPS細胞などで分化誘導した細胞群に、目的の細胞種を選別できるように設計したRNAスイッチを導入し、目的細胞の選別を行うことで、未分化細胞を除去するという仕組みだ。

この方法だと特別な機械を使用せずに、簡単に目的細胞の選別が行えるため、研究現場の生産性向上に大きく寄与することが期待されている。すでに心筋細胞、肝細胞、内皮細胞、神経細胞、インスリン産生細胞などで実績があり、さらに多くの細胞で活用が可能だ。