牛めし店「松屋」を展開する松屋フーズホールディングス<9887>が、1000億円企業の仲間入りに向け着実な歩みを見せている。 

同社の2020年3月期第2四半期の業績が好調だったことに加え、2019年10月に実施された消費税率アップによる売り上げへのマイナス影響が少なく、10月の全店売上高が前年同期比5.2%のプラスとなったことなどもあり、同社は2019年10月31日に2020年3月期の業績予想を上方修正した。 

それによると売上高は当初予想より5000万円多い1041億円(前年度比6.1%増)、営業利益は同14億円多い55億5000万円(同42.9%増)。売上高の伸びは例年とそれほど大きくは変わらないが、営業利益は3年ぶりの増益に転じ、2004年3月期の58億1500万円以来の高い水準となる見込み。 

ただ、牛丼店「すき家」などを展開するゼンショーホールディングス<7550>の売上高6613億6700万円(2020年3月期予想)、同じく牛丼店「吉野屋」を展開する吉野屋ホールディングス<9861>の売上高2080億円(2020年2月期予想)には、水をあけられているのは紛れもない事実。 

3社のホームページによるとゼンショーホールディングスは、これまでに主なものだけでも18社の企業を買収。吉野屋ホールディングスも3社を傘下に収めている。これに対し松屋フーズホールディングスは事業譲受1件のみにとどまっている。 

今後、売上規模で先を走る両社との差を詰めるにはM&Aが一つのポイントになるといってもよさそうだ。 

M&Aが成長の分かれ目か 

松屋フーズホールディングスの2020年3月期第2四半期決算では、牛めし業態11店舗、とんかつ業態8店舗など合計23店舗を新規に出店。同時に14店を閉店したためトータルの店舗数は1190店となった。これに既存店の売り上げアップが加わり、上期の全店舗の売上高は前年同期比8.8%増となった。 

利益については売り上げの伸びに伴い工場などの固定費の割合が低下したほか、販売管理費も売上高に対する比率が下がり、大幅な営業増益となった。このため2020年3月期の業績予想を上方修正したわけだが、上方修正の理由の一つに新規出店の減少に伴う出店費用や初期教育費の減少を上げており、来期以降の成長には一抹の不安が残った。 

M&Aについてはゼンショーホールディングスの独走といってもいい。本体による主なM&Aだけでも18件あり、子会社による買収などを含めるとさらに件数は増える。 

吉野屋ホールディングスは京樽、はなまる、アークミールの3社の子会社化にとどまっているが、いずれも柱となる事業に成長しており、2019年3月期の売上高が吉野屋の1036億700万円に対し、京樽は273億2300万円、はなまるは290億600万円、アークミールは202億4700万円といった具合だ。 

松屋フーズホールディングスはコバヤシフーズインターナショナルから回転鮨業態12店舗を譲り受けた案件1件のみで、両社との差は大きい。1000億円の大台に乗った後の成長戦略は見直しの必要がありそうだ。

松屋フーズホールディングスの主なM&A
2006年コバヤシフーズインターナショナルから回転鮨業態12店舗を譲受


吉野屋ホールディングスの主なM&A
2000年 京樽を子会社化
2006年 はなまるを子会社化
2008年 どん(アークミール)を子会社化


ゼンショーホールディングスの主なM&A
2000年 ココスジャパンの株式を取得
2001年 ぎゅあんの株式を取得
2002年 大和フーヅの株式を取得
2005年 なか卯の株式を取得
2006年 Catalina Restaurant Group Inc.を子会社化
2007年 ユナイテッドベジーズの株式を取得
2007年 サンデーサン(現・ジョリーパスタ)の株式を取得
2008年 華屋与兵衛の株式を取得
2009年 GMフーズを吸収合併
2012年 多聞フーヅの株式を取得
2012年 マルヤの株式を取得
2013年 米国POCINO FOODS COMPANYを子会社化
2013年 ヤマトモ水産食品の株式を取得
2013年 マルエイの株式を取得
2014年 介護サービス輝(現・輝)の株式を取得
2014年 尾張屋の株式を取得
2015年 水下ファームの株式を取得
2018年 米国Advanced Fresh Concepts Corp.の株式を取得


文:M&A Online編集部