「日産自動車<7201>社内に仏ルノーとの企業連合の解体を求める独立論が表面化している」-西川廣人前社長兼最高経営責任者(CEO)の海外メディアでのインタビューが波紋を広げている。後任で2019年12月に就任したばかりの内田誠社長兼CEOは「ルノーとのアライアンスは日産にとって重要な競争力であり、ウィン・ウィンの原則に従って強化する認識を共有している」と「火消し」に躍起だ。

トロイカ体制が裏目に出る?

日産社内では2018年11月のカルロス・ゴーン前会長の逮捕以来、「ルノーからの独立」に対する期待が高まっていた。日産社内ではとっくに分かっていたはずだった西川前CEOの不当報酬問題が噴出したのも、彼がルノーとのアライアンスに煮え切らない態度を取り続けていたためではないかと言われている。

内田新CEOの立場も微妙だ。就任直後の記者会見では「日産の独立性は維持する」とする一方で、懸案となっているルノーとの経営統合や出資比率の見直しについては言及を避けた。「ルノーと距離を置くべきだ」と主張し、社内では次期社長に推す声が強かった生え抜きの関潤前専務執行役員は副最高執行責任者(副COO)に抑え込まれ、日産社内の不満はたまる一方だ。

日産社内ではルノーからの「独立論」が高まる(同社ホームページより)

このままでは内田CEOが社内をまとめきれない恐れもある。中立とされながらも社内ではルノー寄りと見られている内田CEO、三菱自動車<7211>前COOから転任したルノー出身のアシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)、日産独立派の期待を一身に受ける関副COOの3人による「トロイカ体制」は、いわば「中立派」「ルノー派」「独立派」の代表による合議制だ。

日産とルノーの関係が良好であれば安定した経営を実現する「バランス人事」と言えるが、ゴーン前会長の逮捕以来、両社の関係はぎくしゃくしたまま。そうした不安定な状況では「バランス人事」がかえって裏目に出る可能性も高い。

新体制が裏目に出れば、日産は経営の求心力を失って「内紛」の時代に入る。社内がまとまらないまま業績悪化が深刻化し、日産は20年前と同じ経営危機に見舞われることになるだろう。そうなるとルノーは日産を見捨てる。企業規模が小さいルノーにとって、経営危機に陥った巨大な子会社を抱えたままでは「共倒れ」になりかねないからだ。