「この1年間取り組んできたことを通じて、やっと黒字を一歩一歩出せる状況になった」。RIZAP(ライザップ)グループの瀬戸健社長は14日都内で開いた9月中間決算の説明会で、経営立て直しへの手ごたえをこう語った。

実は、この日はM&Aの凍結を宣言した1年前と同じ日。「まだ足りないことはたくさんあるが、(RIZAPが)こんなに変わったと言われるように、結果を出していきたい」と決意をにじませた。

上場子会社9社のうち8社が営業黒字を達成

9月中間の連結業績(国際会計基準)は売上高が前年同期比2.5%増の1083億円、営業利益が27億円(前年同期は58億円の赤字)だった。本業のもうけを示す営業利益は9つある上場子会社の8社が黒字を達成。前年同期は6社が赤字に陥っていたが、このうちフリーペーパー発行大手の「ぱど」を除いて黒字転換した。

ぱどについては、赤字幅が半減したものの、短期的に収益改善が期待できないとして、12月に売却することを決めている(11月6日発表)。売却金額は約24億円。グループ傘下の会社・事業の売却は昨年10月に事業構造改革に着手して以来4件目だが、9社ある上場子会社では、ぱどが初のケース。売却益として約10億円を計上する。

売却が決まった「ぱど」が発表するフリーペーパー

ちなみに、上場子会社9社の取得価格は166億円。これに対して持分時価は379億円(11月13日時点)で、子会社の大半が再建途上ながらも230億円近い投資効果を生んでいる計算だ。

◎RIZAPグループ傘下の上場会社9社

買収年社名業務内容
2013イデアインターナショナルインテリア雑貨、旅行用品など
2014SDエンターテイメントエンタメ事業を売却、ウェルネス(健康)事業に集中
2015夢展望衣料品ネット販売
2016HAPiNSインテリア・生活雑貨
MRKホールディングス体型補正下着、ヘアサロン関連
2017ジーンズメイトジーンズなどカジュアル衣料専門店
ぱど12月売却予定。フリーペーパー発行など
堀田丸正和装・洋装、寝装
2018ワンダーコーポレーションゲームソフト、CD、文具など

通期予想は据え置き

中核であるフィットネスなどのRIZAP関連事業の売上高は微増の222億円(前年同期は221億円)だった。5月半ばに発表した赤字決算が響き、7月にかけて入会者数が伸び悩んだという。「8月以降は上向いている」(瀬戸社長)とし、下期に巻き返しを期す。

2020年3月期(通期)予想は売上高1.1%増の2250億円、営業利益32億円(前期93億円の赤字)、最終利益5億円(同193億円の赤字)。今回の中間決算段階では従来予想をそのまま据え置いた。

この点について、瀬戸社長は「足元をしっかり一歩一歩固めていきたい。本当の意味での成長は来期以降。今期中に(課題を)すべてやってしまいたい。必要な投資があれば行う」との基本スタンスを強調した。また、下期に何らかの大きな損失が出る可能性の有無については「確度が高いものはない」とかわした。

RIZAPは積極的な企業買収を成長の原動力としてきたが、買収した企業の経営改善の遅れなどで2019年3月期は193億円の最終赤字(18年3月期は92億円の黒字)に転落した。このため、M&Aを凍結し、本業のフィットネス事業と関連性や相乗効果が乏しい事業の売却や整理を進めてきた。

業績不振の企業を純資産より割安な価格で買収し、この差額を「負ののれん」として利益計上してきた。しかし、子会社化した企業が早期に赤字から脱却できなければ、連結業績の足を引っ張るリスクがあり、それが現実となっていた。

 来春に新中計を発表、シニア向け新プログラムも

RIZAPは2020年度入りに合わせ、新中期経営計画をスタートさせる予定。「下期にしっかり結果を出す」としたうえで「当社の強みを磨き、新たな価値創造をしていきたい」と意欲的に語った。

成長の両輪と位置づけるのが、20~40代を中心とした「美容・ダイエット」と、法人、ミドル・シニア世代を対象とする「健康・ヘルスケア」。シニア向けの新プログラムについては、来年度発表に向けて「今まさに開発中」としている。

文:M&A  Online編集部