ヤマノホールディングス(HD)がM&A戦線に本格的に復帰しようとしている。昨年後半、美容室、和装品(きものなど)小売り、学習塾と3件の買収を立て続けに手がけた。2017年に上場子会社とスポーツ事業の売却を柱とする事業再編を実施し、連結売上高を4割以上減らした。そこからの再浮上に向けて、成長戦略の柱と位置づけるのが他でもないM&Aだ。

個別指導塾「スクールIE」の加盟店大手を子会社化

関心を呼んだのが教育分野への参入。ヤマノHDは昨年12月末、個別指導学習塾「スクールIE」のFC(フランチャイズ)加盟店事業を主力とするマンツーマンアカデミー(千葉県旭市。売上高6億1800万円、営業利益3600万円、純資産7億3700万円)の全株式を取得し、今年3月に子会社化すると発表した。4億9300万円を投じて全株式を取得する。

「スクールIE」は、やる気スイッチグループ(東京都中央区)が全国展開し、マンツーマンアカデミーはそのFC加盟店として千葉県、茨城県、埼玉県の関東圏に36店舗(うち1店舗は福岡県)を運営する。FC加盟店として20年以上、生徒数全国トップの実績を誇る有力フランチャイジーという。ヤマノ傘下入りに伴い、出店エリアがさらに広がることになりそうだ。

ヤマノHDは現在、美容事業、和装宝飾事業、DSM(訪問販売・展示販売)事業を経営の3本柱とする。2019年3月期の売上高141億円を部門別にみると、和装宝飾品74%、美容14%、DSM12%。収益源を拡大するうえで、既存事業の強化とともに、新規領域の開拓を重点課題に掲げる。具体的には介護関連、教育・学習支援、飲食、レジャー事業を候補とし、M&Aの機会をうかがっている。

マンツーマンアカデミーが運営する「スクールIE」の店舗(千葉県松戸市内)

一方、既存事業では昨年10月、「La Bonheur(ラ・ボヌール)」のブランド名で首都圏中心に美容室15店舗を運営するL.B.G(東京都足立区)の株式52%を取得し子会社化した。20代~30代女性をターゲットとした中高価格帯の美容室で、2013年の会社設立以来、着実に店舗網を広げてきた。

「La Bonheur」15店舗を含めて現在、美容室数は全国で99店舗。ファミリー層・中高年層を主体とするこれまでの低中価格帯の美容サービスとの連携を強化し、ヤマノグループの祖業でもある美容事業の基盤拡充を目指す。

続いて昨年11月には和装品小売りの「かのこ」(東京都中央区)から北海道・東北や関東の8店舗を事業取得した。かのこは売上不振などで10億円を超える債務超過に陥っていた。

ヤマノHDは「すずのき」「京のきもの屋 四君子」「絹絵屋」「東京きもの愛」「ら・たんす」など様々なブランドの和装品店舗を100店以上運営するが、その大部分はM&Aを通じて傘下に収めた。「かのこ」についても長年のノウハウを移植し、収益改善を図る。

「M&A再スタート」の号砲、ネイルサロン買収

美容事業では2018年7月に、東京・吉祥寺でネイルサロンを3店舗経営する、みうら(東京都三鷹市)を子会社化した。ネイルサロン業態を取り込み、トータルビューティーによる美容事業の拡大を狙いとするが、実はこれが「M&A再スタート」の号砲となる案件でもあったのだ。

一体、どういうことだろうか。