日本の食に欠かせない調味料の一つがソース。ウスター・中濃・とんかつソースに加え、お好み焼きやタコ焼きの専用ソースが定番化して久しい。一方で、嗜好の多様化や人口減少などを背景に市場の成熟化とともに、競争が一段と激化している。こうした中、業界を代表するトップブランド、ブルドックソース<2804>が14年ぶりというM&Aを繰り出した。局面転回となるのか。

「ミツワソース」「ヒガシマルソース」のサンフーズを子会社化

傘下に収めたのは、広島風お好み焼ソースを主力とするサンフーズ(広島市)。10月7日付で、全株式を取得した。買収金額は非公表。サンフーズは1916(大正5)年に創業した老舗で、「ミツワソース」「ヒガシマル」のブランドで商品を提供している。ソース類のほか、食酢、焼き肉のたれなども手がける。

ブルドックは“全国区”のメーカーとはいえ、事業の軸足は東日本にある。2005年には関西に強みを持つイカリソース(大阪市)を買収した。今回のM&Aはこれ以来で、事業基盤の安定と一層の企業成長の実現につなげる。

サンフーズの業績は明らかにしていないが、信用調査機関の企業データによると売上規模は2億円台。ブルドックの連結業績への寄与度がそれほど大きいわけではないが、同社がグループに加わることで、東京、大阪、広島の3地域の食文化を支える形となる。ブルドックは「ソース文化並びにお好み焼き文化の普及に向けた取り組みを加速する」と意気込む。

広島風お好み焼き店(東京・神田)

サンフーズはソース類に加え、近年は冷蔵お好み焼き、お好み焼き材料セット、ソースや材料を詰め合わせたギフトの販売にも力を入れている。

いうまでもなく、広島は有数のお好み焼きの激戦地。お好み焼きソースをめぐっては、最大手のオタフクソース(広島市)をはじめ、サンフーズ、「カープソース」ブランドの毛利醸造(広島県三次市)などの地元勢がシノギを削っている。

広島市内にある観光名所「お好み村」。ここでの健闘が光るのがサンフーズだ。同社のソースが24全店舗で使われているという。

主力のソース事業でまず一手

実に14年ぶりにM&Aに取り組んだブルドックだが、足元の業績はどうか。2019年3月期は売上高1.3%増の170億円、営業利益40.6%減の4億3000万円、最終利益12.4%減の7億7300万円。大型設備投資による減価償却費や広告宣伝などマーケティング費用が膨らみ、利益を圧迫したものの、売上高は4年連続で増加した。ただ、売上高は過去10年間、微増減の圏内で横ばい推移しており、頭打ち状態が鮮明だ。

新ブランド「&Bull-Dog」
(ブルドックHPから)

新たな成長戦略が求められる中、2017年度にスタートした中期経営3カ年計画で掲げた課題は「主力であるソース事業の拡充」と「事業領域の拡大」。

2018年2月には、新ブランド「&BULL-Dog」を立ち上げ、新たな事業領域としてドレッシング・たれに進出した。中計の最終年度を迎えて取り組んだのが今回の同業メーカーの買収だ。

ひとまず“公約”を果たした格好だが、2020年度からの次期中計では具体的な果実をどう得るのかが問われる。

◎業績の推移(単位百万円、20/3期は予想)

18/3期19/3期20/3期
売上高16,79117,01017,300
部門別
 家庭用10,41310,440
 業務用  3,652 3,807
 その他      53     14
営業利益    724    430    600
最終利益    883    773    570