エコスは東京・多摩地区と北関東を地盤に、中堅スーパーマーケットとして地歩を着々と築いてきた。現在113店舗を展開する。本拠とする多摩地区から、北関東に店舗網を広げる原動力はほかでもないM&Aだ。ここ数年は手控えてきたM&Aだが、いよいよ再始動する。

与野フードセンターを買収、埼玉で店舗倍増

エコスは昨年11月、埼玉県で食品スーパー15店舗を展開する与野フードセンター(さいたま市)を買収することで基本合意したと発表した。全株式を取得し、完全子会社化する内容で、今年9月の最終契約書締結を目指す。年商140億円規模の与野フードセンターの傘下入りに伴い、埼玉県内の店舗は現在の17店舗からほぼ倍増し、連結売上高(2020年2月期予想1250億円)も1割以上膨らむことになる。

ただ、手放しで喜んでいられる状況ではない。与野フードセンターは深刻な経営不振に沈んでいるからだ。同社の2019年8月期業績は売上高142億円、営業赤字4億2500万円、最終赤字8億6500万円。大幅な最終赤字となった結果、純資産は500万円(前の期は8億7100万円)に激減し、債務超過寸前で辛うじて踏みとどまった。

5年前の2014年8月期と比べると、売上高は30億円近く減少し、この間、最終損益は赤字続き。店舗閉鎖などに伴うリストラ費用が損益を圧迫した。本業のもうけを示す営業損益も2018年8月期から赤字に転落している。

2018年に社長を派遣、経営支援を本格化

こうした中、与野フードセンターに経営支援してきたのがエコスだ。2018年10月に木村幸治副社長を兼務のまま、与野フードセンターの社長に派遣した。併せて乾物などのグロサリー(食品雑貨)部門での商品供給に関する協業に乗り出した。

与野フードセンターが2019年8月期に8億円を超える最終赤字を計上したのも、エコスが主導して資産整理や人員圧縮など事業構造改革を集中的に実施したためとみられる。積年のうみを相当程度出し切ったタイミングをとらえ、エコスは与野フードセンターの子会社化を決断。両社の経営資源やノウハウを統合し、競争力の強化につなげるとしている。

エコスがM&Aに取り組むのは2016年にサンマリ(仙台市)から栃木県内のスーパー3店舗を取得して以来となる。現在、9月末の最終合意書締結に向けて、与野フードセンターの資産査定デューデリジェンス)を実施中。焦点の一つは買収金額の行方。

一般的には純資産額に営業利益の3年分を加えた額が目安とされる。これに対し、今回は赤字企業が買収対象だが、将来の収益性をどう見込むかによって、高い評価になる場合もある。

与野フードセンターが創業したのは1960年。まさにスーパーの草創期で、小売り革命を巻き起こした中内功氏(故人)率いるダイエーの前身企業が神戸で産声を上げたのはその3年前のことだ。

与野フードセンターは1990年代後半から2000年代初め、売上高300億円を超え、30店舗に達し、栃木県にも出店。しかし、その後は縮小に次ぐ縮小で、売上高、店舗数はいずれも半減した。拡大戦略のつまづきに加え、同業のスーパー、さらにコンビニ、ドラッグストア、ディスカウントストアなどとの競争激化が背景にある。

業歴60年を誇る埼玉の名門地場スーパーをどう立て直すか、エコスの総力が問われることになる。

与野フードセンターの「七里店」(さいたま市見沼区)