サンデンホールディングス(HD)<6444>は店舗用冷蔵・冷凍ショーケース、自動販売機などを手がける流通システム事業から撤退することを決断した。流通システム事業は60年を超える業歴を持ち、カーエアコン関連を中心とする自動車機器事業に続く第2の柱として同社を支えてきたが、今回、事業切り離しという大ナタを振るう理由とは。

子会社を500億円で投資ファンドに譲渡

ショーケース(同社HPから)

サンデンHDは8月7日、流通システム事業子会社のサンデン・リテールシステム(サンデンRS、群馬県伊勢崎市)の全株式を、投資ファンドのインテグラル(東京都千代田区)に10月1日付で譲渡すると発表した。資金力のある有力ファンドの下で、新たな成長を託す。譲渡金額は貸付債権を含めて500億円。

買収主体はインテグラルが受け皿として設立したSDRSホールディングス(東京都千代田区)。サンデンHDはSDRSホールディングスに出資し、議決権の20%を取得するが、持分法は適用しない予定だ。

サンデンHDは長年、自動車機器事業と流通システム事業を経営の両輪としてきた。2019年3月期の売上高2739億円のうち、自動車機器事業は1935億円と7割を占め、流通システム事業694億円、住環境システム事業(床暖房や浴室換気乾燥機、石油ストーブなど)110億円と続く。

現在、自動車業界は「CASE」(つながる、自動運転、シェアリング、電動化)のキーワードに代表されるように100年に一度の変革期に突入し、部品など関連メーカーは新たな技術開発が求められている。

とりわけ、足元では市場が拡大しつつある電気自動車(EV)への対応が急務。サンデンHDはEV向けに電動コンプレッサーやヒートポンプ、水加熱電気ヒーターをはじめとする空調領域の製品開発を加速するとともに、バッテリーやモーターなどの温度管理領域にも展開を急ぐ方針だ。

一方、流通システム事業はコンビニ出店の頭打ちや人口減による市場の縮小が予想される。こうした中、コンビニの24時間営業や宅配業界の再配達に関する社会課題の解決に向け、無人販売を実現する高機能自動販売機「マルチ・モジュール・ベンダー(MMV)」の提案や物流分野への新製品投入により、事業領域を拡大することが成長のカギとなっている。

自動車産業と命運を共にする決断を下す

自動車機器、流通システムのいずれも有望事業と位置づける。しかし、「双方の事業に対して、その成長を加速させるために十分な経営資源を投入することは難しい状況」と判断。流通システム事業を切り離し、自動車機器事業に経営資源を集中することにした。株式譲渡で得た資金は次代に向けた成長投資に振り向ける。

実は、経営の第3の柱だった住環境システム事業は2019年3月期をもって生産から撤退した。さらに流通システム事業からも撤退を決めたことで、今後は名実ともに自動車産業と命運を共にすることになる。

サンデンホールディングス本社本館(群馬県伊勢崎市)