ニチモウ<8091>は「浜から食卓まで」をカバーする水産専門商社として、2019年に会社設立100周年を迎えた水産専門商社だ。社名の由来となった漁網などの海洋事業をはじめ、水産品の輸入販売を中心とした食品(水産原料、加工食品)、機械、バイオティックス、資材、物流など、幅広い事業を展開する。そうした多種多様の事業は、同社が事業分割とM&Aで育ててきた。

前身企業は事業分割で誕生

ニチモウは事業分割で生まれた。1910年に山口県下関市で、同社の前身となる「高津商店漁業部」が発足。当時すでに下関は漁業基地で、高津商店漁業部は2隻の漁船を保有してトロール漁に出た。この漁に使うトロール用の網の仕立て工場を同市内に開設。トロール漁法を本場イギリスで学んだ林田甚八氏と岩本千代馬氏が中心となり、日本で初めて強度の高いマニラ麻を原料に用いた「マニラ網」を生産した。

大正時代に入るとトロール漁業が衰退し、規模拡大で生き残ろうと「共同漁業」が発足。高津商店漁業部は共同漁業に持ち船を譲渡して解散した。しかし、競争力の高かった製網部門は漁網・漁具の製造販売を続けることになり「高津商店製網部」として分割され独立。

名実ともに製網事業に徹することになった。1919年に高津商会として改組、独立企業として再スタートを切る。翌20年に「日本一の漁網会社を目指す」と、社名を「日本漁網船具」に変更した。

ニチモウの祖業である漁網(同社ホームページより)

会社発足に併せて新設された船具部は食料品以外の船具や船用品、機器のほとんどを販売し、大正年間だけでも取扱商材の種類は数千に膨らんだ。1922年にはトロール船向けに潤滑油の取り扱いも始めた。これが後に同社を支える石油事業に発展する。