京成電鉄は東京都東部、千葉県、茨城県を営業エリアとし、鉄道・バスの運輸事業を中核に沿線に密着した「総合生活企業グループ」を旗印する。東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの筆頭株主(所有割合約20%)でもある。

関東私鉄大手9社で連結売上高は最下位だが、鉄道の営業距離は152キロメートルと東武鉄道、東京メトロ、西武ホールディングスに続く4位。10月には現在約3割の株式を持つ関東鉄道(茨城県土浦市)を連結子会社化する予定で、本業の運輸事業の強化にも余念がない。

関東鉄道にTOBを開始

京成電鉄は8月1日、関東鉄道にTOB株式公開買い付け)を始めた。株主数は1347人(3月末時点)。買付予定数は709万5544株で、予定通りに買い付けられれば、所有割合は議決権ベースで現在の30.09%(間接所有を含む)から約99%に高まる。経営権をほぼ完全に掌握する。

買付価格は1株500円で、買付期間は10月1日まで。買付代金は最大約35億4700万円。京成電鉄として過去最大規模のM&Aとなる。

関東鉄道は茨城県と千葉県の一部で鉄道、バス、タクシー事業などを手がける。2019年3月期の売上高は165億円。グループ14社を抱え、従業員数は1168人。鉄道事業については常総線(取手~下館、51.1キロメートル)と竜ケ崎線(竜ケ崎~佐貫、4.5キロメートル)の2路線で営業運転している。

関東鉄道・常総線取手駅で

関東鉄道は1965年に鹿島参宮鉄道(存続会社)と常総筑波鉄道が合併して誕生した。鹿島参宮鉄道の設立は1922年。一方、常総筑波鉄道は明治45年に常総鉄道として設立され、その後、筑波鉄道と合併した。京成電鉄は元々、旧鹿島参宮鉄道、旧常総筑波鉄道とそれぞれ資本関係があり、1992年以降は関東鉄道を持分法適用関連会社としてきた。

バス事業で「一定以上の効果」見込む

京成電鉄は関東鉄道とこれまで、営業・安全施策で情報交換、資材の共同購入、大規模自然災害時の復旧支援、高速バスの共同運航などで緩やかに連携してきた。

関東鉄道グループのバス(東京駅発着所)

スケールメリットを引き出すためには一体となって経営を遂行することが必要として、2018年8月から連結子会社化の検討を始め、バス事業の収益強化などで一定以上の効果が見込まれると判断した。今春に関東鉄道にTOBを提案し、協議を進めてきた。

実は、関東鉄道の屋台骨を背負うのはバス事業にほかならない。バス事業の売上高は92億円で、全社の55%を占める。これに対し、鉄道事業は24億円にとどまる。かつての筑波線(土浦~岩瀬、約40キロメートル)は1979年、鉾田線(石岡~鉾田、約27キロメートル)は2007年に廃線した。

京成電鉄としては、茨城県にある偕楽園、筑波山、霞ケ浦、水郷などの観光名所や圏央道、外環道などの交通ネットワークを活用しながら、バス事業の連携を強化する方針だ。