コクヨ<7984>によるぺんてる(東京都中央区)の子会社化を巡る騒動が大詰めを迎えている。

12月10日を期限にぺんてる株式の買い付けを行っている文具大手のプラス(東京都港区)が設立したジャパンステーショナリーコンソーシアム合同会社(JSC)と、コクヨのどちらがぺんてるの企業価値を高めることができるのかを、ぺんてる株主に判断してもらおうと、コクヨが買付期限をJSCの買付期限前日の12月9日に早めたためだ。

同時に当初の買付期限が12月15日だったため、コクヨは「熟慮期間短縮の影響を考慮」して、買付価格をJSCの3500円より700円高い4200円に引き上げた。これで一気に株主の賛同を得ようとの作戦だ。

コクヨは「乗っ取りや支配をするような考えは一切ない。子会社の自主性を尊重し、コクヨからの一方的な押し付けはしない」としたうえで、過去の実績としてインテリア事業を手がけるアクタス(東京都新宿区)と、文具事業を手がけるインドのカムリン(ムンバイ市)の事例を上げた。

コクヨが自主性を尊重している実例として上げたアクタスとカムリンの子会社化とはどのようなものだったのか。

共同事業で規模拡大

コクヨがインドの文具や画材のメーカーであるカムリンの子会社化を発表したのは2011年。コクヨの子会社であるコクヨS&T(大阪市)がカムリンによる第三者割当増資を引き受けるとともに、TOB株式公開い買付け)により同社株式の50.3%を取得するというものだ。

当時のニュースリリースによるとコクヨとカムリンは2010年からノート販売で業務提携しており「相互に企業文化なども理解したうえでの友好的な買収である」としている。

さらにコクヨS&Tはカムリンとの共同事業に取り組み、インドの文房具市場で双方の強みを生かし事業を拡大していくことで合意したほか、カムリンの創業家は引き続き13%ほどの株式を保有し、創業家の取締役2人は引き続きコクヨS&Tと共同で事業に取り組むという。

2011年当時、カムリンは鉛筆やインク、ペン、パステルカラーなどで高いブランド認知率と強い全国販売流通網を築いていた。ただ、地元大資本の市場参入や欧米有力メーカーの参画などで競争環境が厳しくなっており、商品開発力やデザイン力の強化が課題になっていたという。

コクヨは保有する開発力やデザイン力を投入しカムリンの課題解決を支援するとともに、コクヨのマネジメントシステムの導入によってカムリンの既存事業の営業利益率の向上(当時 6%程度)や在庫率の低減を実現するとしている。これら計画を見る限り、確かに双方が納得した友好的な買収といえそうだ。