電炉大手の共英製鋼<5440>が海外M&Aを着実に進めている。2016年の米国の鋼材メーカーBD Vinton LLC(BD Vinton)の子会社化、2018年のベトナムの鉄鋼メーカーベトナム・イタリー・スチール・ジョイント(VIS )の子会社化に次いで、2020年2月にはカナダのMoly-Cop AltaSteel Ltd.(MCアルタスチール)の電炉事業の買収を決めた。 

2021年3月期を最終年とする中期経営計画「Quality Up 2020」に盛り込んだ「海外鉄鋼事業の出荷量の増加・収益力の向上」という方針に忠実に従った形だ。 

同中期経営計画では2021年3月期に売上高2800億円、経常利益140億円の目標を掲げており、これに対し2020年3月期は売上高2400億円、経常利益180億円の見込み。売上高は残り1年間で400億円の上積みが必要だが、経常利益は1年前倒しでクリアし、しかも目標を40億円も上回る。 

買収を決めたMCアルタスチールの電炉事業部門の2019年6月期の売上高は約263億7200万円、営業利益は約3億2400万円で、共英製鋼の2021年3月期にはこれら数字が加わることになるわけで、中期経営計画の目標達成にM&Aが大きな役割を果たすことは間違いない。 

2016年以降に4件実施 

共英製鋼は1947年の共栄製鉄の創立がスタート。同年に伸鉄業に転換し、1956年には共英伸鉄を設立し、平鋼の生産を始めた。1962年に電炉工場として佃工場(現枚方事業所大阪工場)を新設したあと、1967年には線材メーカーから小形棒鋼を主体とする条鋼メーカーに転換した。 

M&Aに関してはこれまで数多くをこなしてきた。1979年にオーバンスチール社と熊本共英工業の経営権を譲渡したのを皮切りに、1984年には第一製鋼(現名古屋事業所)の経営権を取得。さらに1991年には今村製作所(大阪府)の経営権を取得し、コラム分野に進出したあと、1992年には米国のフロリダスチール社の経営権を取得し、1994年には相場製鋼新治工場の製造設備を承継した。 

そして2016年に米国のBD Vintonの子会社化、2018年に鋳物メーカーの吉年(大阪府)からの事業譲受、同じ2018年にベトナムのVISの子会社化、2020年にカナダのMCアルタスチールからの事業譲受とつながっていく。

共英製鋼の沿革と主なM&A
1947共栄製鉄を創立し、同年に伸鉄業に転換
1948共英製鋼に社名を変更
1956共英伸鉄を設立し、平鋼の生産を開始
1962電炉工場として佃工場(現枚方事業所大阪工場)を新設
1967線材メーカーから小形棒鋼を主体とする条鋼メーカーに転換
1979オーバンスチール社の経営権を譲渡
1979熊本共英工業の経営権を譲渡
1984第一製鋼(現名古屋事業所)の経営権を取得
1991和歌山事業所の営業権をキョウエイ製鐵に譲渡
1991今村製作所(大阪府)の経営権を取得し、コラム分野に進出
1992米国のフロリダスチール社の経営権を取得
1994相場製鋼新治工場の製造設備を承継
1999アメリスチール社の経営権を譲渡
2005株式交換方式で共英産業と共英メソナを完全子会社化
2012ベトナムにキョウエイ・スチール・ベトナム社を設立し、鉄鋼事業を開始
2016米国のBD Vinton LLCを子会社化(ビントン・スチール社に改称)
2018吉年(大阪府)の事業を譲受
2018ベトナムのベトナム・イタリー・スチール(VIS)を子会社化
2020カナダのMCアルタスチールの電炉事業を買収