期待高まる新型コロナの「国産ワクチン」打てるのはいつ?

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被験者の募集や臨床研究業務の支援などを手がける3Hクリニカルトライアル(東京都豊島区)は8月18日、同社が運営する治験情報サイト「生活向上WEB」で日本の製薬会社が手がける国産の新型コロナワクチンの治験参加者を募集したところ、希望者が1万4000人を超えたと発表した。

「いつまでも海外製品に頼らなくても済むように」や「国産のワクチンなら治験であろうと喜んで打つ」「日本製ワクチンができるまで待ちたい」などの声があり、国産ワクチンに対する期待は高いという。

米国のファイザーやモデルナ、英国のアストラゼネカに大きく後れを取った日本勢。いつ国産ワクチンは打てるのだろうか。

年間約1万人が治験などに参加

3Hクリニカルトライアルは2021年3月15日に、新型コロナウイルスの国産ワクチンに関する治験などに協力できる治験ボランティアの募集を開始し、8月16日時点で「協力したい」とした人が8564人、「内容による」とした人が5556人の合計1万4120人に達したという。

生活向上WEBは、約94万人が登録する日本最大級の治験情報サイトで、治験情報や患者調査、健康食品、コスメのモニターなど、さまざまな情報を提供しており、年間約1万人が治験などに参加している。

最近は新型コロナウイルスの罹患者の治験ボランティアの登録が増えているため、同社ではワクチンだけでなく、治療薬などでも研究を支援していくという。

年内の実用化は困難

その国産ワクチンの開発には、アンジェス<4563>、塩野義製薬<4507>、第一三共<4568>、KMバイオロジクス(熊本市)、武田薬品工業<4502>などが取り組んでいる。

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アンジェスは第2/3相臨床試験の結果を今夏に発表する予定だったが、分析が遅れており、まだ公表していない。さらに感染防止効果を高めるため高用量製剤での第1/2相臨床試験を8月17日に始めたばかりで、実用化にはしばらく時間がかかりそうだ。

塩野義は2020年12月16日に、国内第1/2相臨床試験に着手した。2021年7月27日に公表した「新型コロナウイルスに対する弊社の取り組み」では、2021年内に第3相臨床試験を開始する準備を進めており、臨床試験と並行して2021年末までに3000万人分以上の生産体制を整備するとしている。

第一三共は2021年3月22日に、国内第1/2相臨床試験に入り、この時点で実用化のめどなどについては言及していない。KMバイオロジクスも2021年3月22日に、第1/2相臨床試験を開始しており、2021年中に第3相臨床試験に進む予定としている。

武田薬品は米国のバイオ企業ノババックスが開発した「遺伝子組み換えたんぱくワクチン」の製造技術の移転を受け、年間2億5000万回分の生産を計画。ノババックスは2021年中に米食品医薬品局に緊急使用許可を申請する見通しという。

これら状況から判断すると、いずれの企業も年内の実用化は難しく、当面はファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社のワクチンに頼らざるを得ないのが実情だ。

現在、感染力の強いデルタ株が広がり、感染者数が日々最高を更新している。感染防止のため3回目のワクチン接種も検討されており、ワクチン不足が懸念される中、今後国産ワクチンに対する期待はますます強くなっていきそうだ。

文:M&A Online編集部

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