満を持してM&Aに乗り出したChatwork、今後の戦略は?

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合弁会社を立ち上げたChatworkの山本CEO(左)とスターティアHDの本郷社長

クラウド型ビジネスチャットツールを手がけるChatwork(チャットワーク)<4448>が、2021年7月に初のM&Aを実施した。中小企業向けのデジタルマーケティング事業を手がけるスターティアホールディングス(HD)<3393>傘下企業のクラウドストレージ事業を引き継ぐ新会社を立ち上げたのだ。Chatworkの山本正喜最高経営責任者(CEO)と井上直樹最高財務責任者(CFO)兼コーポレート本部長に今回のM&Aの狙いと背景、そして今後の戦略について聞いた。

-今回のM&Aのきっかけを教えて下さい。

山本CEO

山本 スターティアHDの本郷秀之社長兼CEOと会食する機会があり、SNSでつながった。「子会社のスターティアレイズ(東京都新宿区)がやっているクラウドストレージ事業に興味はありませんか」とのメッセージがあり、社内で検討して決断した。

ー今回のM&Aはスターティアレイズのクラウドストレージ事業を切り出し、Chatworkストレージテクノロジーズ(東京都新宿区)を設立しました。出資比率はChatworkが51%、スターティアレイズが49%です。Chatworkがクラウドストレージ事業を買収した形ですね。なぜ合弁企業という形になったのですか?

山本 交渉を進める中でスターティアHD側の考えもあり、合弁企業として一緒に事業を成長させようということで落ち着いた。8月にはスターティアレイズが提供するRPA(手作業のコンピューター処理を自動化する)ツール「RoboTANGO(ロボタンゴ)」を「Chatwork DX相談窓口」の提案サービスとして追加するなど、合弁に留まらず業務提携も進んでいる。

-今回のM&Aの狙いは何でしょう?

山本 わが社はビジネスチャットをプラットフォームに、様々なアプリと連携して機能やサービスを実装する「スーパーアプリ構想」を進めている。ビジネスチャットは仕事時間中は開きっぱなしで作業するため、他のビジネスアプリよりもユーザーの接触時間が長い。そこで一つでも多くのアプリを提供することにより、ユーザーの利便性を高めたいと考えている。

ビジネスチャットは仕事についての情報が流れいていく「フロー」の機能を持つ。一方、クラウドストレージは情報を貯めていく「ストック」の機能で、ビジネスチャットの補完的なサービスだ。M&Aの対象としてはうってつけだった。

ービジネスとしての親和性も高い?

山本 Chatworkストレージテクノロジーズが提供する「セキュアSAMBA」は高度のセキュリティーを実現しながら利用しやすいクラウドストレージとして導入が進んでおり、従業員100人未満の中小企業ではシェアトップだ。

当社のChatworkは400万ユーザーを持つ中小企業で最もシェアが高いビジネスチャットであり、共に中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーションに貢献できるサービスで相乗効果が期待できる。

ーChatworkストレージテクノロジーズの経営目標を聞かせて下さい。

井上CFO

井上 業績としては初年度に売上高1億9000万円、営業利益は4100万円の赤字を見込んでいる。クラウドストレージ市場は年に10%を超える成長が続いている。当面は黒字化よりもトップライン(売上高)の成長を優先し、市場の成長を超える売上増を実現し、100人未満の中小企業で10%のシェアを固めたい。

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