コロナ禍、歴史を刻んだ名門雑誌の休刊が続く

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2021年8月号をもって休刊の「小型全国時刻表」(交通新聞社)

名門雑誌の休刊が続いている。かつては旅行時に必携だった時刻表、ゴルファー必読の週刊誌、アマチュア写真家の登竜門といわれたカメラ専門誌…。出版不況に新型コロナウイルス感染拡大の影響が重なる中、半世紀を超える歴史にピリオドを打った。

時刻表、アプリ普及に押される

現在、書店に最終号が並ぶのが「小型全国時刻表」。7月20日発売の2021年8月号の表紙には「長い間ご愛読いただき、ありがとうございました」と記されている。発行元は交通新聞社。

「小型全国時刻表」はB6変型判の携帯サイズ。一部駅は割愛されているものの、JR線の全線を時刻を掲載し、私鉄有料特急や国内航空線ダイヤもカバーする豊富な情報量を売り物にしてきた。前身の「総合時間表」以来60年以上の歴史を刻んできたが、その幕を閉じる。

休刊の理由は「諸般の事情」。スマートフォンアプリの普及などネットで手軽に駅時刻表や電車の乗換案内を調べられるようになり、販売部数を落としていたと見られる。

同じく小型ながら、もう一回り大きい「全国版コンパス時刻表」は今後も発行される。発行元の交通新聞社は旧弘済出版社と旧交通新聞社が2001年に合併して発足し、「散歩の達人」「旅の手帖」などの著名雑誌を持つ。

パーゴルフ、創刊50年の節目で休刊

ゴルファーに惜しまれながら、6月22日発売号を最後に休刊したのが「週刊パーゴルフ」。ゴルフのテクニック、誌上レッスン、用具・用品などの情報が満載され、同誌を重宝したゴルファーは多いはずだ。

長らく、「週刊ゴルフダイジェスト」(ゴルフダイジェスト社)と双璧をなし、今年は1971年の創刊から50周年の節目だが、時代の変化による読者ニーズの多様化を踏まえ、「週刊で雑誌を発行する形を見直すことにした」という。

「パーゴルフ」は学習研究社(現学研ホールディングス)が創刊。2011年に学研から売却された後、変遷を経て、ゴルフレッスン誌「ALBA」などを出版するグローバルゴルフメディアグループに発行元が移った。

「3大カメラ誌」がついに消滅

4月にはカメラ専門の月刊誌「日本カメラ」(日本カメラ社)が73年の歴史を終えた。「アサヒカメラ」(朝日新聞社、後に朝日新聞出版)、「カメラ毎日」(毎日新聞社)に続き、かつての3大カメラ誌がすべて姿を消すエポックとなったのだ。

「日本カメラ」は1948年に「アマチュア写真叢書」として創刊。カメラ、レンズ、フィルムの最新情報や撮影技術、撮影マナーを伝え、写真愛好家の作品紹介、写真コンテストに熱心に取り組んできた。

かつてはアマチュア写真家の“必読誌”とされた「日本カメラ」

しかし、デジカメの普及に加え、スマホのカメラ性能が向上し、写真撮影が手軽に行えるようになり、本格的な機材を利用するアマチュア写真家が大きく減少。また、販売部数の低落に歯止めがかからず、コロナ禍の長期化でネットに奪われた広告収入がさらに落ち込んでいた。

一方、出版社を巡るM&Aも少なくない。電子書籍取次大手のメディアドゥは3月、RIZAPグループ傘下で生活実用書やコミックなどの日本文芸社を約15億円で買収。また、パソコン解説書で知られるインプレスホールディングスは13億円を投じて、月刊誌「エアライン」など航空関連の出版物を手がけるイカロス出版(東京都新宿区)を8月初めに買収する。

文:M&A Online編集部

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